【背の低いミニバン】なぜ姿を消した?一世を風靡したホンダ・ストリームの栄光と衰退

ミニバンといえば、広々とした室内空間と使い勝手の良さでファミリー層に大人気ですよね。中でも、日産セレナ、ホンダステップワゴン、トヨタノア/ヴォクシーといった背の高いハイト系ミニバンが市場を席巻しています。しかし、かつてはホンダ・ストリームを筆頭に、背の低いミニバンも一世を風靡した時代があったことをご存知でしょうか?今回は、背の低いミニバンの栄光と衰退、そしてその理由について探っていきたいと思います。

ホンダ・ストリームが生み出した低全高ミニバンブーム

2000年に登場したホンダ・ストリームは、5ナンバーサイズのステーションワゴン風のボディに3列シートを搭載し、スポーティなデザインで多くのユーザーを魅了しました。デビュー翌年には販売台数ランキングでトヨタ・カローラ、ヴィッツに次ぐ3位にランクインし、ホンダの登録車として当時最短となる発売から10ヶ月で累計販売台数10万台を達成する快挙を成し遂げました。

altaltストリームの登場は、トヨタにも大きな影響を与え、ストリームと同じ3サイズを持つウィッシュを緊急投入。両車は熾烈な販売競争を繰り広げ、低全高ミニバンブームを巻き起こしました。

なぜ背の低いミニバンは姿を消したのか?

一世を風靡した背の低いミニバンですが、2010年代に入ると人気に陰りが見え始め、2020年にはほぼ全ての車種が生産終了となりました。その理由として考えられるのは、皮肉にも人気の理由の一つであった“背が低いこと”がネガティブに作用したことです。

室内空間の広さのイメージ

背の低いミニバンは、セダンライクな運転感覚がメリットですが、ファミリー層にとっては室内空間の広さも重要な要素です。車内で子供を着替えさせたりするシーンを想像すると、背の高いボディの方が使い勝手が良いのは明らかです。また、見た目で「広そう」と感じることも重要で、背の低いミニバンは「狭そう」という印象を与えてしまう傾向がありました。日産エルグランドやホンダ・オデッセイが苦戦していることからも、実際の広さ以上に「見た目」が重要であることが分かります。

スライドドアの有無

そして最も大きな要因と言えるのが、スライドドアの有無です。背の低いミニバンはヒンジドアを採用しているものが多く、コスト面では有利ですが、使い勝手ではスライドドアに圧倒的に劣ります。一度スライドドアの便利さを経験したユーザーは、ヒンジドアに戻るのは難しいでしょう。自動車評論家の山田太郎氏も「スライドドアはファミリーカーにとって必須の装備であり、ヒンジドアのミニバンは時代遅れだ」と指摘しています。

時代と共に変化するニーズ

このように、ファミリーカーとしてのニーズを満たす上で、背の高いミニバンが選ばれるのは必然であり、背の低いミニバンが淘汰されてしまったのも当然の結果と言えるかもしれません。時代と共に変化するニーズに合わせて、自動車メーカーも進化を続けているのです。

【画像】えぇぇぇぇぇ! これが「見なくなった背の低いミニバン」です!(25枚)
かつての人気車種、背の低いミニバンも写真で見ると懐かしいですね。時代の流れを感じます。