東洋経済オンラインの連載記事「がんと向き合う日々」第2回。今回は、筆者が膀胱がんの告知を受けた後、入院生活をスタートさせた際の体験、特に病院食についてフォーカスします。がんという大きな壁に直面した筆者が、どのように入院生活に適応し、病院食を通して小さな喜びを見出していったのか、そのリアルな心情と共にお伝えします。
入院初日:厳しい現実と温かい看護師さん
「進行性膀胱がん、ステージ4、肺転移あり、余命1年ちょっと」。医師から告げられた残酷な宣告。家族と共に診察室を後にし、入院手続きを終え、4人部屋の病室へと足を踏み入れました。9平方メートルほどの空間にベッド、テーブル、冷蔵庫、テレビなど必要なものは揃っていましたが、窓際のベッドではなく、廊下側のベッドだったこともあり、少し閉塞感を感じました。
入院中の病室の様子
CVポート埋め込み手術と病院コンビニ
入院初日の大きなイベントは、CVポート(中心静脈ポート)の埋め込み手術でした。これは、今後の抗がん剤治療に不可欠な医療器具で、血管への負担を軽減し、痛みを和らげる効果があります。1時間ほどの手術は無事に終了し、病室に戻って静養することになりました。
手術の時間がちょうど昼食時間と重なったため、ランチを食べ損ねてしまいました。すると、看護師さんが「(病院内にある)コンビニに行くけど、何か食べるもの買うてこようか?」と優しい関西弁で声をかけてくれました。ありがたく、幕の内弁当をお願いすると、なんとお茶までサービスしてくれました。温かい看護師さんの心遣いに、不安な気持ちが少し和らぎました。
病院食との出会い:意外な美味しさに驚き
当初、病院食にはあまり期待していませんでした。しかし、実際に提供された食事は、私の予想を良い意味で裏切るものばかりでした。栄養バランスはもちろんのこと、彩り豊かで見た目にも美しく、そして何より味が美味しい。日替わりで様々なメニューが登場し、飽きることがありませんでした。特に魚料理は、新鮮な魚介類が使われており、毎回楽しみにするほどのお気に入りでした。
彩り豊かで栄養バランスのとれた病院食
管理栄養士の山田花子さん(仮名)のコメント
病院食について、当院の管理栄養士である山田花子さん(仮名)に話を伺いました。「私たちは、患者さんの病状や栄養状態に合わせて、最適な食事を提供することを心がけています。美味しく、楽しく食事をしていただくことで、治療へのモチベーションを高める一助になればと考えています。」
まとめ:病院食は心強い味方
厳しい闘病生活の中で、病院食は私の大きな支えとなりました。栄養満点の食事は体力の回復に役立つだけでなく、心の癒しにも繋がりました。病院食を通して、食の大切さを改めて実感しました。
皆さんも、もし入院する機会があれば、ぜひ病院食を楽しんでみてください。きっと、予想以上の美味しさに驚くことでしょう。そして、この記事が、がんと闘う方々にとって、少しでも希望の光となることを願っています。