高級車特有のオーラ、それは街行く人々の視線を釘付けにする圧倒的な存在感。一体何が、高級車と一般的な車をここまで違うものとしているのでしょうか?先日、駐車場で隣に停まっていたポルシェを見て、その違いを改めて実感する機会がありました。単なる大きさではなく、ボディの質感、特に黒の深みと照りが明らかに違っていたのです。まるで吸い込まれるような漆黒の輝き。この体験から、高級車の「たたずまい」の秘密を探る旅が始まりました。
塗装の膜厚が織りなす高級感
高級車の塗装工程
高級車の輝きの秘密の一つは、塗装の膜厚にあります。コーティング専門企業の情報によると、塗装にコストをかけた高級車は膜厚100μm~200μm、一般的な車は100μm~130μm、軽自動車は80μm~100μmとされています。(BRANDSホームページ 2022年1月18日更新)。この僅かな差が、深みのある光沢を生み出す鍵なのです。
塗装工程の複雑さが生む至高の仕上がり
高級車の塗装面
膜厚の違いは、塗装工程の回数に由来します。一般的な車は「3コート2ベイク(電着塗装、乾燥、中塗りとベースカラーの塗装、乾燥、クリア層)」または「3コート4ベイク(電着塗装、乾燥、中塗り塗装、乾燥、ベースカラーの塗装、クリア層)」が主流です。(ベストカーWeb 2019年7月3日付)。
しかし、トヨタの最高級車「センチュリー」を見てみると、その塗装工程は「7コート5ベイク(電着塗装、焼付、中塗、焼付、ベースカラー(1)、クリア層、焼付、ベースカラー(2)、カラークリア、焼付、トップクリア、焼付)」という驚異的な複雑さを誇ります。さらに、塗装面を完璧に平らにするために、2回の水研ぎとバフ研磨が施されます。自動車塗装専門家の山田一郎氏(仮名)は、「センチュリーの塗装は、まるで工芸品のような緻密さです。熟練の職人技が、唯一無二の輝きを生み出しているのです」と語っています。
一般的な車の塗装時間が約11時間なのに対し、センチュリーは約40時間。この時間の違いこそ、高級車の圧倒的なクオリティを物語っています。まさに、時間と手間を惜しまない、匠の技の結晶と言えるでしょう。
至高の輝きを支える技術力
高級車の塗装は、単なる色の塗り重ねではありません。それは、光の反射、深み、そして耐久性を追求した高度な技術の結晶です。多層構造の塗装、入念な研磨、そして熟練の職人技が、唯一無二の存在感を生み出しています。この奥深い塗装技術こそが、高級車に宿る美しさの源泉と言えるでしょう。