21世紀の格差問題:ピケティ『21世紀の資本』を読み解く

世界的なベストセラーとなったトマ・ピケティ著『21世紀の資本』。一見地味な経済学の研究書が、なぜこれほどまでに注目を集めたのでしょうか? 本記事では、ピケティの主張を分かりやすく解説し、格差問題の本質に迫ります。

格差問題への新たな視点

1990年代、アメリカ経済の好景気の中で、人々の関心は「成長」に集中し、「格差」は過去の遺物のように捉えられていました。 そんな中、ピケティは真正面から格差問題に取り組み、世界的な議論を巻き起こしたのです。

ピケティ氏の著書「21世紀の資本」ピケティ氏の著書「21世紀の資本」

彼の著作の革新的な点は、複雑な理論モデルではなく、膨大な歴史的経済データに基づいていることです。データをグラフ化することで、格差のメカニズムを視覚的に分かりやすく示しました。

「r > g」:格差拡大の法則

ピケティが提示した「r(資本収益率)>g(経済成長率)」という不等式は、格差問題を理解する上で重要な鍵となります。資本収益率は資産からの利益率、経済成長率は労働者の収入の伸び率とほぼ等しく、この不等式は、資産家の資産増加率が労働者の収入増加率を上回ることを意味します。つまり、放置すれば格差は必然的に拡大していくのです。

2000年間の資本家と労働者の格差2000年間の資本家と労働者の格差

長年経済学では「クズネッツの逆U字仮説」が常識とされていました。これは、経済成長の初期段階では格差が拡大するものの、その後縮小していくという理論です。しかし、ピケティは数百年単位の長期データを用いて、この仮説が当てはまらないことを証明しました。戦後の一時期、格差が縮小したのは例外的な現象であり、歴史的に見ると格差は拡大傾向にあるのです。

格差是正への提言:累進課税の強化

では、どうすれば格差を是正できるのでしょうか? ピケティは、資産税や累進課税の強化を提唱しています。 1960年代から1980年代にかけて格差が縮小したのは、強力な累進課税や相続税、インフレによって富の再分配が行われていたためだと彼は指摘します。 仮に各国が協調して課税を強化すれば、富裕層の資産流出も防げるとピケティは主張しています。

主流派経済学との対立

主流派経済学では、格差拡大は投資リスクによって説明されます。資産家はリスクの高い投資を行うため、高いリターンを得るのは当然だとされます。 しかし、そもそもどれだけリスクを取れるかは、資産の規模によって決まるのです。 経済評論家の山田一郎氏(仮名)は、「リスクテイク能力の差が格差拡大につながる構造を見逃してはならない」と指摘しています。

まとめ

ピケティの『21世紀の資本』は、格差問題を考える上で重要な視点を提供しています。 彼の分析は、格差問題が現代社会における喫緊の課題であることを改めて認識させてくれます。 皆さんは、この問題についてどう考えますか? ぜひコメント欄で意見を共有してください。 また、jp24h.comでは、様々な社会問題に関する記事を掲載しています。 他の記事もぜひご覧ください。