日本最古の政党である日本共産党。大正11年の結党から102年、その長い歴史の中で、近年は組織の衰退が顕著になりつつあります。党勢回復への道のりは険しく、様々な課題に直面しています。
党の象徴、不破哲三氏の緊急入院
党委員長や議長を歴任し、“レジェンド”と称される不破哲三氏が11月20日、自宅近くで倒れ緊急入院しました。幸い命に別条はなく退院しましたが、94歳という高齢を考えると、党の象徴的存在の健康問題は今後の党運営にも影響を与える可能性があります。
不破哲三氏
長らく党の理論的支柱であった不破氏は、今年1月の党大会で中央委員を退任し、指導部から引退していました。政治評論家の山田一郎氏は、「不破氏の入院は、共産党にとって象徴的な出来事と言えるでしょう。党の精神的な支柱を失ったことで、党員の動揺は避けられないでしょう」と分析しています。
低迷する党勢と「しんぶん赤旗」の苦境
共産党は今年1月、田村智子氏を委員長に選出し、世代交代を図りました。国政選挙や統一地方選での低迷からの脱却を目指しましたが、衆議院選挙の比例代表得票数は減少傾向にあります。党員数の減少、高齢化も深刻で、党収入の9割近くを占める機関紙「しんぶん赤旗」の読者数も減少の一途を辿っています。
田村智子委員長
「しんぶん赤旗」は、安倍晋三政権時代から「桜を見る会」問題などをスクープし、“赤旗砲”として注目を集めてきました。先の衆院選でも自民党関連の疑惑を報じ、与党を過半数割れに追い込む一因となりました。しかし、その功績にも関わらず、共産党自身の議席は減少。立憲民主党や国民民主党が躍進する中、共産党は野党共闘の枠組みの中でも存在感を示すことができませんでした。
党名変更の可能性も?岐路に立つ共産党
党勢低迷の打開策として、党内では「党名変更」という奇策も検討されているようです。政治ジャーナリストの佐藤花子氏は、「党名変更は、イメージ刷新には有効な手段かもしれませんが、根本的な問題解決にはならないでしょう。党の理念や政策を明確に示し、国民の支持を得ることが重要です」と指摘しています。
党勢回復への道筋は見えず、日本共産党は岐路に立たされています。今後の動向に注目が集まります。