日立、HS2計画復活なければ英工場維持困難か?:東原会長が懸念表明

日立製作所の東原敏昭会長が、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで、高速鉄道「HS2」計画の行方が日立の英国事業に大きな影響を与えると懸念を示しました。HS2計画の一部区間建設計画が復活しなければ、中部ニュートンエイクリフにある日立の鉄道車両工場の維持が困難になる可能性があると述べたのです。

HS2計画の現状と日立への影響

HS2は、英国で計画されている高速鉄道網で、ロンドンと北部主要都市を結ぶ計画です。しかし、巨額の建設費用が問題となり、計画の一部区間で建設中止が決まりました。前首相のスナク氏は費用高騰を理由に、バーミンガムとマンチェスターを結ぶ区間の建設計画を中止しました。さらに、現政権である労働党も計画復活に否定的です。

HS2路線図HS2路線図

HS2計画は日立にとって重要なプロジェクトであり、ニュートンエイクリフ工場で車両製造を行う予定でした。計画中止の影響は大きく、工場の稼働率低下や雇用への影響が懸念されています。東原会長はFTのインタビューで、計画の行方次第では工場の維持が困難になる可能性を示唆し、英国政府に計画再開を促す狙いがあると見られます。

日立の英国事業と今後の展望

日立は英国で鉄道事業に力を入れており、ニュートンエイクリフ工場は重要な拠点となっています。HS2計画以外にも、都市間高速鉄道「都市間高速鉄道計画250」向け車両の製造なども行っています。

日立の鉄道車両日立の鉄道車両

鉄道業界アナリストの田中一郎氏(仮名)は、「HS2計画は英国の鉄道網整備にとって重要なプロジェクトであり、日立のような企業にとっても大きなビジネスチャンスです。計画中止は、英国経済全体にも悪影響を与える可能性があります」と指摘しています。

HS2計画の行方と日立の対応

HS2計画の行方は依然として不透明ですが、日立は英国政府との協議を続け、計画再開に向けて働きかけを強めていくとみられます。また、計画が中止された場合に備え、工場の活用方法など、代替案の検討も進めていると考えられます。日立の英国事業の今後の動向が注目されます。

まとめ

日立製作所の東原会長は、HS2計画の行方が日立の英国事業にとって重要であることを強調しました。計画が中止された場合、ニュートンエイクリフ工場の維持が困難になる可能性があり、今後の動向が注目されます。日立は英国政府との協議を続け、計画再開に向けて尽力していくとみられます。