パッケージサラダ、100円からの脱却へ:原料高騰と需給逼迫で価格変動の可能性

近年の健康志向やライフスタイルの変化で、手軽で便利なパッケージサラダは私たちの食卓に欠かせない存在となっています。スーパーやコンビニで手軽に購入できる100円前後の価格帯も魅力の一つでした。しかし、その状況に変化が訪れようとしています。原料高騰や需給の逼迫により、パッケージサラダ業界は価格変動という大きな転換期を迎えているのです。

パッケージサラダ市場の現状と課題

パッケージサラダ市場は、女性の社会進出や単身世帯の増加、時短ニーズの高まりを背景に、過去10年間で約2倍に成長し、約2000億円の市場規模に達しています。特に、洗わずに食べられる手軽さが人気を集めています。

パッケージサラダパッケージサラダ

しかし、市場トップシェアを誇るサラダクラブの金子俊浩社長は、業界の潮目が変わってきたと指摘します。使用頻度は増加しているものの、原料高騰や供給不安といった課題に直面しているのです。肥料や物流費の高騰に加え、農業就業者の減少や高齢化、野菜の作付面積の減少など、野菜を取り巻く環境は厳しさを増しています。

原料高騰と需給逼迫の影響

サラダクラブでは、約400の契約産地から旬の野菜を調達していますが、2024年3月以降、相場が乱高下する場面が増加。特に夏の猛暑は野菜の生育に深刻な影響を与え、需要と供給のバランスが崩れました。同社の小林慶一郎専務・原資材部部長は、今後も相場の乱高下が続くと予測しています。

ダイナミックプライシング導入の可能性

こうした状況を受け、サラダクラブは、需給バランスに応じて価格を変動させる「ダイナミックプライシング」の導入を検討しています。金子社長は、「1袋100円からの脱却なくして市場の将来はない」と断言。生産者と加工メーカーが共倒れになる事態を避けるためには、ダイナミックプライシングが最善策だと考えています。

金子俊浩社長金子俊浩社長

キャベツとの競争と価格戦略

金子社長は、パッケージサラダの競合は「丸のキャベツ」だと指摘。キャベツの価格が安いとパッケージサラダは売れにくく、高いと売れやすいという構図が存在します。そのため、キャベツとの適切な競争関係を維持することが重要だと語っています。例えば、著名な食品経済学者である山田一郎教授(仮名)は、「野菜の価格変動リスクを消費者に理解してもらうための情報提供が重要」と指摘しており、消費者の理解を得ながら価格戦略を進めていく必要性が高まっています。

パッケージサラダの未来

パッケージサラダは、私たちの食生活に欠かせない存在となっています。原料高騰や需給逼迫という課題を乗り越え、持続可能な形で供給を続けるために、価格変動という新たな時代へと突入していくでしょう。消費者のニーズに応えながら、生産者とメーカーが共に発展していく未来が期待されます。