セブン-イレブン、イトーヨーカドー、デニーズ…。日本の生活に欠かせないこれらのブランドを擁するセブン&アイ・ホールディングス。その歴史は、小さな洋品店から始まった壮大な物語です。今回は、創業から世界展開、そして今後の展望まで、セブン&アイ・ホールディングスの歩みを紐解いていきます。
羊華堂からイトーヨーカドーへ:革新のDNA
セブン&アイ・ホールディングスのルーツは、1920年に浅草で誕生した洋品店「羊華堂」。二代目の伊藤雅俊氏は、衣料品販売から食品スーパーへと舵を切り、革新的なチェーン展開に着手します。当時の日本ではまだ珍しかったチェーンストアという形態は、伊藤氏が欧米視察で得た着想でした。そして1968年、千住に誕生した地上6階、地下1階の大型店を機に「イトーヨーカドー」へと改名。GMS(総合スーパー)という新たな業態を確立し、ダイエーやニチイといったライバル企業とともに、高度経済成長期の消費を牽引していく存在となりました。
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コンビニ革命:セブン-イレブンの誕生と驚異的な成長
1974年、イトーヨーカドーは米国のセブン-イレブンとデニーズを日本に導入。当時、コンビニエンスストアという業態は未知数でしたが、伊藤雅俊氏を説得した鈴木敏文氏の尽力により、豊洲に1号店がオープンしました。当初は7時から23時までの営業だったことから「セブン-イレブン」と名付けられました。
セブン-イレブンは、試行錯誤を繰り返しながら独自の進化を遂げます。手巻きおにぎりやおでんといった、今では定番の商品の開発も、その過程で生まれました。わずか2年で100店舗、そして93年には5,000店舗、2003年には1万店、2018年には2万店と、驚異的なスピードで成長を続けました。そして1991年には、なんと米セブン-イレブンの運営会社であるサウスランド社を子会社化するという偉業を成し遂げます。
国内コンビニ業界のトップランナー:圧倒的な「質」へのこだわり
現在、セブン-イレブンは国内に約2万1,000店舗を展開。2位のファミリーマート、3位のローソンを大きく引き離し、業界のトップを独走しています。その強さの秘訣は、店舗数の多さだけではありません。1店舗あたりの売上高、そして顧客一人あたりの購買金額においても他社を凌駕しており、その「質」の高さが際立っています。無駄のない品揃え、徹底した立地戦略、そして精度の高い情報収集力。これらの要素が、セブン-イレブンの圧倒的な競争力の源泉となっています。
未来への挑戦:セブン&アイ・ホールディングスの展望
近年、セブン&アイ・ホールディングスは、北米のコンビニ大手「アリマンタシォン・クシュタール」による買収の標的となるなど、新たな局面を迎えています。伊藤忠商事による出資の可能性も浮上し、今後の動向が注目されています。激動の時代において、セブン&アイ・ホールディングスはどのような戦略を描き、未来を切り開いていくのでしょうか。日本を代表する企業の挑戦は、これからも続きます。