韓国株式市場、年金基金の買い支えで反発も不安残る

韓国では大統領による非常戒厳宣言から10日経った12日も、金融市場は揺れ動きました。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の国民向け談話発表後、株価は一時下落したものの、午後には機関投資家の買い支えもあり、KOSPIは前日比上昇で取引を終えました。

大統領談話で市場は乱高下

12日の韓国株式市場は、まさにジェットコースターのような展開を見せました。取引開始直後は上昇基調だったKOSPIですが、午前10時頃に発表された大統領談話を受け、急落しました。談話では非常戒厳の正当性が主張され、早期の政局安定は期待できないとの見方が広がりました。このため、投資家の不安が増幅し、株価は一時的に大きく下落したのです。

KOSPIのチャートKOSPIのチャート

機関投資家の買い支えで反発

しかし、午後に入ると風向きが変わりました。機関投資家、特に国民年金などの年金基金による大規模な買いが入ったことで、KOSPIは持ち直し、最終的には前日比プラスで取引を終えました。与党議員による大統領弾劾への賛成表明や、特別検察官法案の国会可決といった報道も、市場心理の改善に寄与したと考えられます。一部の市場関係者からは、大統領談話をきっかけに政局が弾劾に向かうことで、市場の不確実性が軽減されたとの楽観的な見方も出ています。

外国人投資家の動向に注目

市場は反発したものの、依然として不安要素は残っています。外国人投資家は3日連続で売り越しを続けており、非常戒厳宣言以降、投資家の信頼が回復していないことを示唆しています。12日の外国人投資家の売り越し額は約200億ウォン、個人投資家も2000億ウォン以上売り越しました。市場関係者の間では、この日の株価上昇は、急落後の底値買いによる一時的な反発に過ぎないとの見方もあり、今後の外国人投資家の動向に注目が集まっています。

今後の見通し

韓国経済の先行きは、依然として不透明な状況です。政治の混乱が長期化すれば、経済への悪影響は避けられません。今後の市場動向を占う上で、大統領弾劾の手続きや、それに伴う政局の安定化、そして外国人投資家の動向が重要なカギを握ると言えるでしょう。 金融専門家の山田一郎氏は、「今回の株価反発は一時的なものに過ぎない可能性がある。今後の政治状況と外国人投資家の動向を注視する必要がある」と指摘しています。