近年、凶悪な手口で社会問題となっている「闇バイト」。実行犯は若者が多いイメージですが、実は中高年も巻き込まれているケースが増えています。今回は、一見普通のアルバイトに見せかけた、巧妙な闇バイトの手口に騙されてしまった65歳女性の体験談を通して、その実態に迫ります。
パチンコ好きが高じて…ポストに届いた甘い罠
65歳の山田陽子さん(仮名)は、大のパチンコ好き。ある日、マンションのポストに「パチンコを打つだけのアルバイト」というチラシを見つけました。 時給換算するとかなり高額な上、交通費まで支給されるとのこと。山田さんは「客が少ないお店のサクラかな?」と考え、軽い気持ちで応募してみたのです。電話対応した男性は非常に丁寧で、「1日5~6時間勤務で日給1万円、さらに軍資金、出玉報酬、交通費も支給」という好条件を提示してきました。
パチンコ台のイメージ
北関東の老舗パチンコ店で…驚きの連チャン劇
1週間後、指定された北関東の老舗パチンコ店へ。そこには、山田さんを含め応募者4名と、40代くらいの「ボス」と呼ばれる男性がいました。ボスから軍資金1万円を受け取り、指定された台「CR北斗の拳ラオウ」を打ち始めると、信じられないほどの連チャンが始まったのです。319分の1という低確率の当たりが、次々と続く異様な状況…。 しかし、15連チャンほどで疲れて休憩に入った山田さんは、他の応募者3名も同様に連チャンしているのを目撃し、違和感を覚えます。
違和感の正体は…恐るべき“ゴト”
実は、山田さんが加担させられていたのは、“ゴト師”と呼ばれる違法行為を行う闇バイトでした。初日は出玉報酬を含め4万円、交通費と残りの軍資金を合わせると5万円弱を受け取りました。2週間後、再び連絡を受け別の店へ向かうと、またもや異常な連チャンが始まります。しかし、今度は店長らしき人物が他のメンバーに近づき、声をかけているのを目撃。ボスから「すぐに店外へ出ろ」と指示され、報酬を受け取らないまま逃走することに…。
犯罪に加担した恐怖…怯える日々
その後、アルバイトの連絡は途絶えましたが、山田さんは今でも恐怖に怯えています。「自分がしてしまったことは犯罪。ボスが捕まれば、自分も警察に捕まるのではないか…」と不安な日々を送っているそうです。
著名な犯罪心理学者の田中教授(仮名)は、「高齢者は社会との繋がりが希薄になりやすく、経済的な不安を抱えている方も少なくありません。こうした状況は、闇バイトの勧誘者にとって格好のターゲットとなる可能性があります」と指摘しています。
今回のケースは、パチンコ好きが高じて犯罪に巻き込まれてしまった悲しい事例です。「簡単にもうかる」という甘い言葉の裏には、必ず大きなリスクが潜んでいることを忘れてはなりません。美味しい話には裏があるということを改めて認識し、怪しいアルバイトには決して手を出さないように注意しましょう。