田中角栄:選挙圧勝の秘密は「気配りの達人」だったから?

田中角栄元首相。ロッキード事件での有罪判決後も選挙で圧倒的な勝利を収め続けたその理由は一体何だったのでしょうか? 政治評論家の小林吉弥氏は、その秘密を「徹底した気配り」にあると分析しています。敵味方関係なく、身内の裏切り者や対立候補にまで気を配る田中氏の姿勢が、多くの支持を集めた要因だったというのです。本記事では、小林氏の著書『田中角栄 気くばりのすすめ』(ビジネス社)を参考に、田中角栄の驚くべき人間力と選挙戦略を紐解いていきます。

公私のけじめを大切にした田中角栄

権力を持つと、人はどうしても甘えやわがままが出てしまうものです。しかし、田中角栄は公私を厳格に区別する人物でした。地位や立場に驕ることなく、常に周りの人に気を配っていたといいます。

地位の高い人物は、ある程度の能力や分別を持っているはずです。しかし、人間は弱い生き物。つい人の気持ちを逆撫でするような言動をしてしまうこともあります。 部下は、上司の公私のけじめがつけられない部分を見抜くのが非常に早く、たった3日で上司を見抜くとも言われています。上司が公私混同していると、組織の緩みに繋がり、いざという時の結束力の弱さにも繋がってしまうのです。

alt="田中角栄元首相の退廷時の様子"alt="田中角栄元首相の退廷時の様子"

角福戦争に見る田中角栄の戦略

昭和47年の自民党総裁選。「角福戦争」と呼ばれたこの選挙は、田中角栄と福田赳夫の激しい争いとなりました。当時、田中陣営は多額の資金を使って票を買収したという噂が流れましたが、事実は異なっていたようです。

田中陣営に所属していた大平派の議員の証言によると、田中陣営は金ではなく、将来のポストを約束する「約束手形」を多用していたそうです。これは、田中陣営に初めから勝利を確信するだけの余裕があったことを示唆しています。世間で言われたような金権選挙ではなかったというのです。

田中角栄の気配り術

田中角栄は、敵味方問わず、あらゆる人に気を配っていました。たとえ対立候補であっても、その人の立場や状況を理解し、適切な対応をとっていたといいます。この人間的な魅力が、多くの支持者を生み出したのでしょう。

裏切り者にも心を砕く

驚くべきことに、田中角栄は自分に背いた人間にも気遣いを示すことがありました。裏切られたにもかかわらず、その人の将来を案じ、助言を与えることもあったといいます。このような懐の深さが、人々の心を掴んだのではないでしょうか。

常に相手の立場を考える

田中角栄は、常に相手の立場に立って物事を考えることを心がけていました。相手の気持ちを理解し、共感することで、信頼関係を築いていったのです。この共感力は、現代のリーダーにも求められる重要な資質と言えるでしょう。

田中角栄の気配りから学ぶこと

田中角栄の成功は、彼の卓越した政治手腕だけでなく、人間的な魅力、特に「気配り」によるところが大きかったと言えるでしょう。現代社会においても、田中角栄の気配り術は、ビジネスや人間関係を円滑に進める上で大いに参考になるはずです。

田中角栄の生き方から、私たちは多くのことを学ぶことができます。彼の気配りの精神は、時代を超えて、私たちに大切なことを教えてくれるでしょう。ぜひ、皆さんも田中角栄の気配り術を参考に、より良い人間関係を築いてみてはいかがでしょうか。