ウクライナ紛争の泥沼化が続く中、ロシアの援軍として投入された北朝鮮軍が苦戦を強いられているというニュースが世界を駆け巡っています。クルスク州の最前線では、北朝鮮第11軍団所属とされる部隊がウクライナ軍の保持する地域への攻撃を開始しましたが、その結果は惨憺たるものだったようです。今回は、この戦況について詳しく見ていきましょう。
期待外れの戦果:北朝鮮軍の苦闘
ロシア軍の援軍として大きな期待を寄せられていた北朝鮮軍ですが、その実力は未知数でした。12月上旬、クルスク州の突出部周辺でウクライナ軍と衝突した北朝鮮歩兵部隊は、開けた平原を進軍中にウクライナ軍の激しい砲火を浴び、多大な損害を被ったと伝えられています。1万2000人規模とされる部隊のうち、200人もの死傷者が出たという情報もあります。
北朝鮮兵士のイメージ
一部では「成功した」とされる攻撃もありましたが、その代償はあまりにも大きく、「ピュロスの勝利」に終わった可能性が高いと軍事専門家は指摘しています。プリョーホボ村における戦闘では、ウクライナ軍の小規模守備隊が北朝鮮軍の波状攻撃を辛くも食い止めました。
ウクライナ軍の戦略的撤退とプショール川の天然要塞
ウクライナ軍はプリョーホボ村から撤退しましたが、これは無秩序な敗走ではなく、計算された戦略的撤退だったようです。ウクライナ防衛戦略センター(CDS)の見解によれば、ウクライナ軍はあえてプショール川の北側に退却し、川を天然の要塞として利用することで、ロシア・北朝鮮連合軍の進撃を阻止しようと図ったのです。
プショール川を挟んだ対峙により、ロシア・北朝鮮連合軍は開けた土地を横断して攻撃を仕掛けざるを得ない状況に追い込まれました。ウクライナ軍は塹壕に身を潜め、ドローンや砲撃で敵を効果的に攻撃し、大きな損害を与えているとされています。
ウクライナ軍のイメージ
専門家の見解
軍事アナリストの佐藤一郎氏は、「北朝鮮軍の戦闘能力は未知数であり、今回の戦闘でその実態が明らかになったと言える。ウクライナ軍の巧みな戦術と地形を活かした防御の前に、彼らは苦戦を強いられている」と分析しています。
今後の戦況は?
北朝鮮軍の投入は、ロシアにとって大きな賭けだったと言えるでしょう。しかし、現状を見る限り、その効果は限定的と言わざるを得ません。プショール川という天然の要塞とウクライナ軍の粘り強い抵抗により、ロシア・北朝鮮連合軍の進撃は阻まれています。今後の戦況は予断を許さず、更なる注目が必要です。