カフェ難民を生む迷惑客…功利主義で考える「公共の場」の哲学

カフェで長時間1杯のコーヒーで粘る人、いませんか?周りを見渡せば、パソコンを開いていたり、スマホをいじっていたり…。空になったカップはカラカラに乾いていても、席を立つ気配はありません。あるいは、グループで1杯の飲み物をシェアしながら、延々と喋り続ける人たちも。こうした光景は、もはや珍しくないかもしれません。

カフェで働く人にとっては、回転率が悪くなり、売り上げにも影響が出かねない迷惑行為。待っているお客さんがいても席を譲らない姿に、他の客もイライラしているかもしれません。しかし、当事者に直接注意するのはなかなか難しいもの。「お金を払っている客だ」という主張を盾に、居座り続ける可能性が高いからです。

カフェで長時間滞在する人のイメージカフェで長時間滞在する人のイメージ

「個人の権利」と「最大多数の幸福」のバランス

では、1杯のコーヒーで長時間カフェを利用する権利は、どこまで認められるべきでしょうか?法哲学者の住吉雅美氏は、著書『あぶない法哲学』(講談社現代新書)の中で、この問題を「功利主義」の観点から考察しています。

功利主義とは、「最大多数の最大幸福」を追求する考え方。つまり、個人の権利は、他者の幸福を損なわない範囲で認められるべきという考え方です。カフェの例で言えば、1人の客の「くつろぎ」が、他の多くの客や店の利益を損なうのであれば、それは制限されるべきかもしれません。

功利主義は冷たい?実は優しい考え方

「功利主義」と聞くと、冷たく聞こえるかもしれません。しかし、それは「みんなが幸せになるにはどうすればいいか?」を考える、とても優しい考え方とも言えます。カフェに限らず、電車の中や図書館など、公共の場では、常に個人の権利と公共の利益のバランスが問われています。

カフェでパソコンを使う人のイメージカフェでパソコンを使う人のイメージ

例えば、飲食店の経営コンサルタントである山田太郎氏(仮名)は、「カフェは公共の場としての役割も担っている」と指摘します。「限られたスペースを有効活用し、より多くのお客様に快適な時間を過ごしてもらうためには、一定のルールが必要不可欠です。」

みんなが気持ちよく過ごすために

公共の場を快適に利用するためには、一人ひとりが周りの状況を意識し、他者への配慮を忘れずにいることが大切です。周りの人が心地よく過ごせるよう、少しだけ意識を変えてみるだけで、カフェはもっと居心地の良い空間になるのではないでしょうか。

今回の記事が、カフェの利用方法について考えるきっかけになれば幸いです。皆さんのご意見、ご感想をぜひコメント欄でお聞かせください。また、jp24h.comでは、他にも様々な社会問題に関する記事を掲載しています。ぜひご覧ください。