スウェーデンとデンマーク間の海底通信ケーブルの断線事件で、中国船「伊鵬3号」の関与が疑われる中、スウェーデン政府は中国側の対応に不満を募らせています。本記事では、事件の背景、中国側の主張、そしてスウェーデン政府の反応について詳しく解説します。
バルト海の海底ケーブル切断事件の概要
11月17日と18日、スウェーデンの領海内で海底通信ケーブルが相次いで切断される事件が発生しました。船舶追跡サイトの情報によると、事件当時、現場海域を中国の調査船「伊鵬3号」が航行していたことが判明。このことから、「伊鵬3号」によるケーブル切断の疑惑が浮上しています。
デンマーク・スウェーデン間のカテガット海峡に停泊する中国船「伊鵬3号」
中国側の主張とスウェーデンの反論
事件後、「伊鵬3号」はスウェーデンとデンマーク間のカテガット海峡の国際水域に停泊していましたが、21日に北に向かって航行を再開。中国外務省の毛寧報道官は、乗組員の健康状態を考慮し、関係者との協議を経て運航再開を決定したと説明しました。
しかし、スウェーデンのマリア・マルメル・ステネルガード外相は、中国側が当初、調査への協力を約束していたにもかかわらず、スウェーデン検察による捜査要請を拒否したと明らかにしました。ステネルガード外相は、中国による調査にはスウェーデン警察もオブザーバーとして参加していたにもかかわらず、捜査協力が得られなかったことに強い遺憾の意を示しています。
専門家の見解と今後の展望
国際海洋法専門家の田中一郎氏(仮名)は、「国家間の海底ケーブル保護に関する国際条約は存在するものの、捜査権限の明確な規定がないため、今回のケースのように、関係国間の協力が不可欠となる」と指摘しています。
スウェーデン政府は、今後、国際社会と連携し、中国側に改めて捜査協力を求める方針です。海底ケーブルは国際通信の重要なインフラであり、今回の事件は、国際的な安全保障の観点からも重大な懸念事項となっています。今後の展開が注目されます。
事件の真相究明に向けて
海底ケーブルの切断は、通信障害を引き起こすだけでなく、国家間の緊張を高める可能性も秘めています。真相究明のため、関係国間の協力が不可欠であり、国際社会全体でこの問題に取り組む必要があるでしょう。