岩手・北上 クマ駆除も出没続く 女性襲撃個体か 注意呼びかけ

岩手県北上市では、連日クマの出没情報が相次いでおり、住民に不安が広がっています。こうした状況の中、11日朝、市内でクマ1頭が駆除されました。この駆除されたクマは、先日発生した女性襲撃事件に関与した個体と同一の可能性が高いと見られています。

駆除されたクマの詳細と現場の状況

駆除されたクマは、人慣れしているかのような大胆な行動を見せていました。市や関係者によると、このクマは器用に窓を開けて小屋の中に押し入っていたということです。駆除を依頼された和賀猟友会の鶴山博会長は、「中に入っていたクマが出てきたところを追いかけて撃った。みんな困っていれば、自分たちしかやれない」と、駆除に至った経緯と使命感を語りました。市によれば、駆除は警察官立ち会いのもと、周囲に田畑しかない場所で複数回発砲して行われました。現場のすぐそばにはクマを捕獲するための罠が設置されていましたが、仕掛けられたエサには見向きもしなかったといいます。何を狙って小屋に入ったのか関係者の話を総合すると、小屋の中にはコメがあり、2袋ほどが裂けて転がっていたことから、クマはコメを狙っていた可能性が高いとのことです。駆除された個体はオスの成獣で、体長は1メートル30センチほどありました。

岩手県北上市のクマ出没・駆除現場周辺の様子岩手県北上市のクマ出没・駆除現場周辺の様子

専門家が語るクマの特性と「特定」の可能性

駆除された個体の調査を依頼された岩手大学の山内貴義准教授は、現場に駆けつけて解体を手伝った際の所感として、「実際に見たときには、それほど大きくないかなと思った」と述べています。クマの年齢は歯を見れば分かるといい、この個体は歯のすり減り具合から、まだそれほど年がいっていない個体だったと分析しています。また、胃の中身や腸を調べた結果、コメの他に野外にある草も食べており、栄養状態は悪くなかったとのことです。「おなかペコペコで、どうしようもない状態の個体ではない」と山内准教授は指摘します。通常、市街地に出没する「アーバンベア」は増えている傾向にありますが、人がいる場所に執拗に出てくることはあまりないため、今回の個体は「かなり一線を越えてしまったクマ」との見解を示しました。北上市の八重樫浩文市長も、今回のクマが示した行動は普通ではなく、「コメを食べて味を占めて、こじ開けても中に入る特殊なクマだ。めったにそういうクマはいない」と述べ、先日女性を襲撃した個体と同一の可能性が高いとの認識を示しました。

駆除後も続く出没、県・市の対応

危険な行動をとる可能性の高いクマ1頭が駆除されたものの、北上市内ではその後もクマの出没情報が途絶えていません。市は、現在も少なくとも成獣2頭と子グマ1頭が市内にいると見て、住民に注意を呼びかけています。岩手県の達増拓也知事は、クマによる被害が相次いでいる現状に対し、「個体数管理、残念ながらクマの数を減らしていかなければならない局面」との認識を示しており、県としても対策を進める考えです。

結論

岩手県北上市で、女性襲撃個体と同一の可能性が高いとされるクマが駆除されました。しかし、依然として複数のクマが出没しており、予断を許さない状況が続いています。市や県は引き続き警戒を強め、住民への注意喚起を行うと共に、専門家や猟友会と連携しながら、クマの個体数管理を含めた対策を進めていく方針です。住民は、外出時や農作業を行う際など、引き続き十分な注意が必要です。


参考文献:
テレビ朝日
Yahooニュース