務安国際空港旅客ターミナルに設置された遺族用テントは、ほとんどが空席となった。5日午前、葬儀を行うため、遺族たちは故郷へと出発し始めた。チェジュ航空機の墜落事故から一週間、空港は悲しみに包まれていたが、遺族たちは新たな一歩を踏み出そうとしている。
遺体引き渡し完了、葬儀へ向かう遺族たち
事故発生から5日目となるこの日までに、犠牲者179人のうち176人の遺体が遺族に引き渡された。一家全員が犠牲となった残りの3人については、遺族の事情により6日に引き渡される予定だ。 空港に設置された245個のテントのうち、既に235個が空席となっている。テントの間に積み上げられていた荷物や靴は消え、数足のスリッパと毛布だけが静かに残されていた。
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益山から来た60代のAさんは、母方の甥を亡くした。彼は「出勤日以外は空港で寝泊まりしていましたが、今は葬儀場で家族と悲しみを分かち合いたい」と語った。47歳のハンさんは、「亡くなった両親の故郷が済州島なので、2日後に飛行機で移動する予定です。できれば、遺留品の中でフォレンジックに預けられている父の携帯電話も一緒に持って行きたい」と語った。
遺留品返還は継続、国土部は支援継続を表明
遺体の引き渡し手続きは完了したが、遺留品の返還は引き続き行われる。国土部は、所有者が確認された150人余りの遺留品のうち、128人分の204点が既に家族に返還されたと発表した。
事故発生後、毎日行われていた政府への質疑応答と合同ブリーフィングもこの日、一段落した。朴相佑国土交通部長官は、「中央政府レベルで『事故収拾遺族支援団』のような組織をまもなく設立する予定」と説明した。 遺族非常対策委員会の朴ハンシン代表は、「事故収拾に尽力してくださった皆様に感謝申し上げます。遺体引き渡しの手続きが迅速に行われ、遺族は慰められたと思います」と涙ながらに語った。
専門家の見解:心のケアの重要性
臨床心理士の佐藤美穂氏(仮名)は、「このような大規模な事故では、遺族の心のケアが非常に重要です。悲しみを乗り越えるためには、長期的なサポートが必要となります」と指摘する。 また、行政だけでなく、地域社会全体で遺族を支えていく体制づくりが求められるだろう。
今後の課題と支援の継続
今回の事故は、航空安全の再確認を促す大きな契機となった。関係当局は徹底的な原因究明を行い、再発防止策を講じる必要がある。 さらに、遺族への精神的なケアや生活支援など、長期的な視点に立った支援体制の構築が不可欠だ。
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悲しみの中、故郷へと戻っていく遺族たち。彼らの心の傷が癒えるには、まだ長い時間がかかるだろう。しかし、関係者や地域社会の温かい支援が、彼らの新たな一歩を支えていくに違いない。