韓国政治は激震に見舞われています。尹錫悦大統領が緊急事態宣言を発令した直後、合同捜査本部は15日朝、大統領への拘束令状を執行し、尹大統領を拘束しました。現職大統領の拘束は韓国史上初の出来事であり、国内外に大きな波紋を広げています。今回の緊急事態宣言、そして拘束劇に至るまでの経緯、今後の韓国情勢について、龍谷大学の李相哲教授の解説を交えながら詳しく見ていきましょう。
なぜ拘束に至ったのか? 緊急事態宣言後の緊迫の48時間
拘束された尹大統領
今月3日にも拘束令状の執行を試みた捜査本部でしたが、大統領警護庁との攻防の末、断念を余儀なくされました。しかし今回は、大統領側も抵抗することなく拘束に応じたとのことです。一体何が背景にあったのでしょうか?
李教授は、今回は警察と警護庁双方に武器を持たせないことで偶発的な衝突、ひいては内乱状態への発展を回避する狙いがあったと指摘します。尹大統領自身も警護庁内の強硬派を説得し、拘束に応じる姿勢を示したと伝えられています。
龍谷大学の李相哲教授
拘束後48時間以内に逮捕状が出なければ釈放となりますが、逮捕状が出た場合、検察は最大20日間、裁判所は最大6カ月、さらに3審まで争われれば最大18カ月の拘束が可能となります。 李教授は、内乱罪で拘束された尹大統領の起訴はほぼ確実であり、今後の法廷闘争で無期懲役か死刑かの判決が下されるだろうと予測しています。
尹大統領の支持率上昇の謎:野党批判と国民の不安
今後の見通し
緊急事態宣言発令当初、国会機能が麻痺し、尹大統領の支持率は大きく低下しました。しかし、ここにきて与党の支持率は回復傾向にあり、最大野党「共に民主党」との差は縮まっているといいます。この背景には、野党への批判や国民の不安の高まりがあると考えられます。
韓国与野党の支持率
14日には憲法裁判所で尹大統領の弾劾裁判の初公判が開かれ、大統領としての適格性が審議されることとなりました。今後の裁判の行方、そして韓国政治の混迷は、国民生活にも大きな影響を及ぼすことは間違いありません。今後の動向に目が離せません。