リニア中央新幹線の夢、2027年開業はもはや幻? 静岡県知事の発言を機に、品川―名古屋間の開業、そしてその先にある大阪までの全線開業の行方が、再び注目を集めています。一体何がボトルネックとなっているのでしょうか? 本記事では、静岡工区の着工問題を中心に、リニア開業の現状と課題を分かりやすく解説します。
静岡工区着工の遅延:知事発言の真意
2024年1月、鈴木静岡県知事は新年会見で、リニア中央新幹線静岡工区の年内着工は「物理的に難しい」と発言し、波紋を呼びました。この発言は、JR東海との協議が難航している現状を浮き彫りにし、2027年開業への期待に冷や水を浴びせる形となりました。
静岡県知事の会見の様子
前知事時代からの懸念事項である大井川の水資源への影響について、未だ解決の糸口が見えない状況です。 JR東海は2037年の大阪までの全線開業を目指していますが、静岡工区の着工遅延は、この目標達成をさらに困難なものにしています。
JR東海の取り組みと課題:大井川の水を守るために
JR東海は、大井川の水資源への影響に対する懸念を払拭するため、様々な取り組みを行っています。その一つとして、冊子『リニア中央新幹線 大井川の水を守るために 南アルプストンネルにおける取組み』を発刊し、地域住民への情報提供に努めています。
JR東海が発行した冊子
この冊子では、トンネル工事による大井川の水量減少への対策として、導水路トンネルの設置による「全量戻し」を強調しています。 しかし、専門家の中には、長期的な影響についての懸念を示す声もあり、例えば、地下水脈への影響や生態系への影響など、JR東海の説明責任は引き続き問われています。「(仮名)水資源管理専門家の山田氏」は、「全量戻し」だけでは不十分であり、より包括的な環境影響評価が必要だと指摘しています。
早期開業実現への道:対話と理解が不可欠
リニア中央新幹線の早期開業を実現するためには、静岡県とJR東海との建設的な対話が不可欠です。 大井川の水資源問題をはじめとする様々な課題について、透明性のある情報公開と丁寧な説明責任を果たすことが、地域住民の理解と協力を得るための第一歩となるでしょう。 政府も積極的に関与し、関係者間の調整役を担うことが求められています。 未来への希望を乗せたリニア中央新幹線。その実現には、粘り強い交渉と相互理解が不可欠です。