マスク氏、トランプ大統領就任イベントでのしぐさめぐる反発を一蹴


マスク氏は20日、米ワシントンのキャピタル・ワン・アリーナで開かれた大統領就任イベントで、トランプ氏の大統領選勝利に貢献した支持者に感謝を述べた際、右手を左胸にあててから、右斜め上にまっすぐ突き上げた。

さらに、逆方向を向いて同じしぐさを繰り返すと、「私の思いはあなた方と共にある。みなさんのおかげで、文明の未来が確かなものになった」と述べた。

マスク氏のこの動作をめぐり、同氏が所有するソーシャルメディア「X」では、ナチス・ドイツの敬礼のようだとの指摘が上がった。そうは思わないという声もあった。

マスク氏は21日、「正直言って、もっと上手な汚い手口を使えばいいのに。『みんなヒトラー』ていう攻撃は、あまりにも使い古されている」と投稿した。

世界一の富豪で、トランプ大統領の盟友でもあるマスク氏は、トランプ政権で新設される「政府効率化省(DOGE)」のトップへの起用が発表されている。

■ナチス式か否か

マスク氏の意図をめぐっては、ソーシャルメディアでさまざまな意見が上がった。

ニューヨーク大学のルース・ベン=ギアット歴史学教授は、「ファシズムを専門とする歴史学者としての見解だ。これはナチス式の敬礼であり、非常に好戦的なものでもある」と述べた。

一方で、アメリカの有力ユダヤ人団体「名誉毀損(きそん)防止同盟(ADL)」は、こうした見方に同意していない。

「イーロン・マスクは熱狂的な瞬間に、ぎこちないジェスチャーをしたのであって、ナチス式の敬礼ではないようだ」と、ADLは投稿した。

イタリアの極右政党を率いるジョルジャ・メローニ首相とつながりのある、マスク氏の側近アンドレア・ストロッパ氏は、「ローマ帝国は、ローマ式敬礼から再び始まる」とのキャプションを付けたマスク氏の動画を投稿したと、イタリア・メディアは報じた。

ローマ式敬礼は、イタリアのかつての独裁者ベニート・ムッソリーニが率いたファシスト党によって広く使われ、その後、ドイツのアドルフ・ヒトラーが採用した。

イタリア・メディアによると、ストロッパ氏は後に当該投稿を削除し、「ナチス式敬礼だと勘違いする人もいるあのしぐさは、自閉症であるイーロンが、『自分の心をあなた方にささげたい』という気持ちを表現したものにすぎない」と投稿した。

「これこそが、彼がマイクを通して伝えたことだ。イーロンは過激派嫌いだ!」

マスク氏の政治思想がますます右傾化する中で、同氏はあのしぐさを見せた。最近では、移民排斥を掲げるドイツの極右野党「ドイツのための選択肢(AfD)」や、イギリス野党「リフォームUK」を支持する発言をしている。

世界経済フォーラム年次総会(WEF、ダボス会議)に出席したオラフ・ショルツ独首相は、マスク氏のしぐさと、ナチス式敬礼との比較について質問を受けた。ナチス式敬礼はドイツで禁止されている。

「欧州とドイツには、言論の自由がある」とショルツ氏は答えた。

「これが極右的な立場を支持するものであるのなら、我々は受け入れることはできない。そのことを、もう一度、繰り返しお伝えしたい」

(英語記事 Musk responds to backlash over gesture at Trump rally)

(c) BBC News



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