1999年に失踪した東京都町田市の美大生、井出真代さん。25年もの歳月が流れ、今もなお消息は不明のままです。そんな中、当時捜査を担当していた元警察官が、家族のもとを訪れ、捜索への協力を申し出ました。この異例の行動の裏には、どんな想いがあるのでしょうか。
未解決事件の重荷と元警察官の決意
2021年12月、井出さんの家族のもとに一人の高齢男性が訪れました。上村正明さん(77歳)、元警視庁町田署の警察官です。真代さんが失踪した当時、この事件を担当していた上村さんは、未解決のまま残る事件に強い責任を感じ、改めて捜索に協力したいと申し出たのです。
alt=井出真代さんの写真
現役時代、多忙な日々の中で事件解決に尽力してきた上村さん。退職後、真代さんが未だに見つかっていないことを知り、衝撃を受けると同時に、当時の記憶が鮮明に蘇ってきたといいます。
限りある捜査資源と組織の壁
1999年8月17日、真代さんの家族から行方不明者届を受けた上村さん。当初は数日で戻るケースが多いと予想していましたが、真代さんの行方は杳として知れませんでした。事件性も視野に入れ、捜査体制を強化しましたが、当時の署員はわずか二十数名。限られた人員で多くの事件を抱え、十分な捜査を行うことは困難でした。
捜査は難航し、手がかりを得られないまま時間だけが過ぎていきました。刑事事件として扱うだけの証拠もなく、捜査は行き詰まりを見せていました。そして2001年3月、上村さんは警視庁本部に異動。真代さんの事件は未解決のまま残されました。
捜査の限界と葛藤
長年、警察官として職務を全うしてきた上村さん。しかし、真代さんの事件は心に深い傷を残しました。「組織人」として、退職後に事件に関わることの是非に葛藤しながらも、真代さんの家族への思い、そして事件解決への強い思いが上村さんを突き動かしました。
再び動き出した捜索の輪
元同僚からの励ましもあり、上村さんは決意を固めます。家族のもとを訪れ、協力を申し出た後、情報提供を呼びかけるホームページを制作。チラシの作成も手伝い、真相解明に向けて動き出しました。すべて無償での活動です。
alt=井出真代さんの想像図
「70代になり、できることは限られているかもしれない。それでも、できる限りのことをしたい」と語る上村さん。25年の時を経て、再び動き出した捜索の輪。真代さんが一日も早く家族のもとへ帰れることを願うばかりです。
町田署(042-722-0110=内線3315)、または井出さん家族(080-8543-3772)まで情報提供をお願いします。