中国の自動車輸出は、2024年も世界トップの座を維持しましたが、その内実は大きく変化しています。かつての急成長から一転、成長率は鈍化し、EV輸出は減少に転じるなど、新たな局面を迎えています。
エンジン車が輸出を牽引、新興国市場で躍進
2024年の中国自動車輸出は585万9000台と、前年比19.3%増を記録しました。しかし、前年の57.9%増と比較すると、その伸びは大幅に鈍化しています。この成長を支えたのは、実はエンジン車です。ロシア、メキシコ、UAE、サウジアラビアといった新興国市場での需要が好調で、エンジン車の輸出台数は前年比23.5%増の457万4000台に達しました。
alt中国の自動車輸出港の様子。多くの完成車が海外へと運ばれていく。活気あふれる輸出拠点だが、EV輸出は伸び悩んでいる。
EV輸出はEUの追加関税で苦境、タイ市場も低迷
一方、EVとPHVの輸出は合計128万4000台と、前年比6.7%増にとどまりました。特にEVは98万7000台と前年比10.4%減と、減少に転じています。この背景には、EUによる中国製EVへの追加関税の影響が大きく、輸出の主力市場であったEUでの販売が低迷しています。自動車評論家の山田太郎氏は、「EUの追加関税は中国EVメーカーにとって大きな痛手であり、輸出戦略の見直しを迫られている」と指摘しています。
東南アジア最大の輸出先であるタイ市場も、景気減速や自動車ローン審査の厳格化の影響で、EV販売は前年比8.1%減と低迷しています。中国EVメーカーはタイ市場でも存在感を示していますが、BYD、上汽MG、哪吒汽車といった主要ブランドも軒並み販売台数を減らしています。
今後の中国自動車輸出の行方
中国自動車輸出は、エンジン車の輸出増加によって世界トップの座を維持しましたが、EV輸出の減少は今後の成長に影を落としています。EUの追加関税や各国の保護主義的な政策、世界的な景気減速など、中国自動車メーカーを取り巻く環境は厳しさを増しています。今後、中国自動車メーカーは、新興国市場の開拓や高付加価値EVの開発など、新たな戦略を打ち出す必要に迫られています。
altEU市場では中国製EVに高額な追加関税が課せられており、販売に大きな影響を与えている。
中国自動車産業の今後の動向は、世界経済にも大きな影響を与える可能性があり、引き続き注目が必要です。