「死刑執行を遅らせるな、2月14日に殺してほしい」 米死刑囚、自筆の嘆願書で泣訴


驚くなかれ、これは米国アリゾナ州の最高裁に提出されたある死刑囚の嘆願書の内容の一部だ。最近、ワシントン・ポスト(WP)によると、嘆願書の主人公はアーロン・ガンチェス(Aaron Gunches)死刑囚(54)だ。ガンチェス死刑囚は2002年、当時恋人の元夫を拉致して殺害し、「1級殺人」容疑で起訴されて有罪判決を受けた。その後、2008年死刑の宣告を受けたガンチェス死刑囚は昨年年末に自筆でこのような嘆願書を書き裁判所に提出した。

ガンチェス死刑囚は嘆願書で「もうずっと前に執行されているべきだった」とし、この2月14日に死刑を執行してほしいと要請した。あわせて「州政府が法的手続きを言い訳に時間がかかっている」と批判して「法律が守られて正義が実現されるように願う」と主張した。このような要請は今回が初めてではない。ガンチェス死刑囚は過去にも死刑執行を早く進めてほしいと要求したことがある。

ガンチェス死刑囚の要請にもかかわらず、アリゾナ州検察は「死刑執行手続き上、問題を解決するために法的検討が必要だ」という立場だ。これに関連し、クリス・メイズ(Kris Mayes)検事総長側は「死刑に使われる薬物ペントバルビタール(pentobarbital)の試験をはじめとして矯正施設が必要な要件をクリアできるか確認することが重要だ」と説明した。

◇最初の死刑執行も遅延…州知事「準備不足」

当初ガンチェス死刑囚の死刑は2023年4月に執行される予定だった。だが、当時ケイティ・ホッブス州知事が「準備不足」を理由に保留して執行は2年間遅れている。州知事は「死刑執行が法律を違反せずに行うことができるという確信がなければならない」とし、独自の「検討委員会」を設けた後、州の毒劇物注射処刑政策とその他死刑執行に関する規約などを再検討するよう指示した。これは2022年に執行された3件の死刑で死刑囚に毒劇物を投じる静脈をまともに探せないなど刑執行に支障があったことを懸念した措置と解釈される。このことによって、その後現在までアリゾナ州では死刑が執行されないでいる。

だが、ホッブス州知事の検討委員会が構成されて7カ月後の2023年11月に解散し、ガンチェス死刑囚の死刑執行に対する要請は再び強まった。当時「憲法的な権利である正義と終結を順守することに失敗した」とし、ホッブス州知事の保留決定を批判したガンチェス事件の被害者家族も早急な執行を要求した。

反面、軽率な死刑執行に対する懸念も出ている。リッチモンド大学法学教授のコリーナ・レイン氏は「第三者が事件に専門的助言を与えることができる米国法制度『法廷助言者』を利用して州の死刑手続きは拷問のような死を招く可能性が高い」とし、ガンチェス死刑囚の早期処刑に反対する意見を裁判所に伝達した。

WPは「ガンチェスが死刑囚のうち自身の処刑を要請した唯一の人ではない」と伝えた。ただし、そのような人のうち相当数が「精神的に問題があった人々」だったという。米死刑情報センターの研究によると、1977年以降、死刑囚の要請で処刑された165人のうち87%は精神疾患者や薬物乱用者だったと明らかになった。これとは違い、裁判所記録によればガンチェス死刑囚は裁判を受ける能力があり、弁護人権利を放棄する能力があるという判断を受けた。

「死刑賛成論者」のドナルド・トランプ大統領の政府が始まってガンチェス死刑囚に対する死刑の可能性も高まった。トランプ大統領は就任初日だった20日、死刑に対する広範囲な執行命令に署名した。また、パム・ボンディ司法長官に各州で死刑を執行するのに十分な致死量の注射薬物を確保するように必要な合法的なすべての措置を取るように指示した。



Source link