柯潔九段、LG杯棋王戦での棄権負けで波紋 中国囲碁界、韓国との交流に亀裂

柯潔九段がLG杯棋王戦決勝で波乱を巻き起こしました。2月23日に行われた決勝第3局で、死に石の扱いに関する規定違反で審判から警告を受けた柯潔九段は、これに強く反発。対局再開を拒否し、棄権負けという結果に。この一件は中国囲碁界の猛反発を招き、日韓の囲碁交流に大きな影を落としています。

死に石ルールが引き金に、中国側が猛反発

事の発端は、昨年11月に韓国棋院が新設した死に石管理規定。この規定では、取った石は碁笥の蓋の上に置かなければなりません。中国では死に石を数える習慣がないため、柯潔九段はテーブルの上に石を置いてしまい、警告を受けたのです。中国囲棋協会は、この判定を不服とし、声明を発表。中国選手団は翌日の授賞式への出席も拒否し、柯潔九段も準優勝賞金1億ウォンを受け取っていません。

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中国囲碁リーグから外国人棋士締め出しへ

LG杯での騒動を受け、中国囲碁界の韓国への反発はさらにエスカレート。中国囲棋協会は2月25日、中国囲碁リーグへの外国人棋士の参加を禁止すると発表しました。これまで、韓国棋士も多数参加していたリーグだけに、その影響は計り知れません。さらに、2月28日には、ソウルで開催予定だった「第1回ソパルコサノル世界最高棋士決定戦」への不参加を表明。柯潔九段を含む中国棋士の出場が予定されていたこの大会は、無期延期となりました。

柯潔九段、「屈辱を受けた」とSNSで主張

一方、中国に戻った柯潔九段は、自身のSNSでプロフィールを「世界大会8冠王」から「世界大会9冠王」に修正。LG杯の優勝は自分だと主張しました。また、SNSのライブ配信では「韓国で屈辱を受けた」「絶対に妥協しない」と強い言葉で心情を吐露。中国囲碁界の重鎮である聶衛平九段も、LG杯の結果を認められないと表明するなど、中国側の反発は強まる一方です。

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韓国世論は二分、棋院は収拾案模索へ

韓国国内では、この問題に対する意見が分かれています。韓国代表チームの洪玟杓監督は「卞相壹九段の名誉が奪われた」と主張する一方、趙惠連九段は新規ルールの適用に問題があったと指摘。韓国棋院は2月28日、「今回の件で韓国と中国が築いてきた信頼が崩れないことを望む」との声明を発表。3月3日に緊急運営委員会を開き、事態の収拾に向けて協議を行う予定です。

今回の騒動は、日韓囲碁界の今後の関係に大きな影響を与えることは必至。両国の関係改善に向けた努力が求められています。