お金の話はデリケートですが、避けては通れない人生の大きなテーマです。特に子供の教育資金は、親にとって大きな負担となることも少なくありません。今回は、大学院進学を希望する息子に「ノー」と言わざるを得ない、ある家庭のリアルな事情をご紹介します。年収770万円でも厳しい大学院費用、そして親の苦悩について考えてみましょう。
夢と現実の狭間で…大学院進学を巡る親子の葛藤
地方都市で中小企業に勤める小山正雄さん(仮名・54歳)は、年収490万円。妻と合わせて世帯年収は770万円です。自慢の長男は東京の私立大学に進学し、4年間の学費と生活費で800万円以上もの費用がかかりました。小山さん夫婦は家計を切り詰め、自分たちの生活費を削ってまで息子の教育を支えてきました。
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高校生の娘の進学費用も控えている中、ついに長男は大学卒業、就職の内定も得て、小山さん夫婦は安堵していました。ところが、息子から一本の電話がかかってきて、状況は一変します。「大学院に進学したい」という息子の言葉に、小山さんは驚きを隠せませんでした。
教育費用の重圧:年収770万円でも足りない?
大学4年間で800万円以上もの教育費を捻出してきた小山さん夫婦。これ以上の負担は家計にとって大きな打撃です。娘の大学進学費用、そして自分たちの老後資金も考えると、大学院進学費用まで負担することは不可能でした。
ファイナンシャルプランナーの山田さん(仮名)は、「大学院進学にかかる費用は、国立大学でも年間約50万円、私立大学だと年間100万円を超える場合もあります。生活費を含めると、2年間で200万円から400万円程度が必要となるでしょう。」と指摘しています。
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厳しい現実を伝える決断
小山さんは、息子に家計の状況を説明し、大学院費用を負担できないことを伝えました。そして、アルバイトや奨学金などを活用するか、本当に大学院に進学したいのかを真剣に考えるように諭しました。
教育評論家の佐藤さん(仮名)は、「親が子供の進路に口出しするべきではないという意見もありますが、経済的な事情をきちんと伝えることは大切です。子供は、親の苦労や家庭の状況を理解することで、より現実的な進路選択ができるようになるでしょう。」と話しています。
子育てと教育費:未来への投資と現実のバランス
子供の教育は未来への投資ですが、家庭の経済状況を無視することはできません。親子のコミュニケーションを密にし、将来の夢や希望、そして経済的な現実についてしっかりと話し合うことが大切です。
小山さんのケースは、多くの家庭が抱える教育費問題を浮き彫りにしています。大学院進学は、本人にとって大きなチャンスとなる一方で、親にとっては大きな経済的負担となる可能性があります。夢と現実のバランスを取りながら、親子で共に将来を考えていくことが重要です。