メンフィス動物保護施設で犬ジステンパーウイルスが蔓延し、約100匹の犬が安楽死されるという悲しいニュースがアメリカ、テネシー州から届きました。この痛ましい決断の背景には、感染拡大の深刻さと、残りの動物たちを守るための苦渋の選択がありました。
集団感染の発生と拡大
2024年12月末、メンフィス動物保護施設は11匹の子犬を受け入れました。しかし、そのわずか1週間後、1匹の子犬にジステンパーの症状が現れ、検査の結果陽性と判明。その後、施設内の11ある犬舎のうち3つで集団感染が確認され、事態は急速に悪化しました。25日には他の犬舎の犬からも陽性反応が確認され、感染拡大の深刻さが浮き彫りになりました。
altメンフィス動物保護施設の様子。多くの犬たちがここで保護されている。
苦渋の決断と施設長の声明
メアリー・クレア・ボリス施設長は、公式ホームページで声明を発表し、100匹もの犬の安楽死という苦渋の決断に至った経緯を説明しました。「このような決断を下すことは、胸が張り裂ける思いです。しかし、感染のさらなる拡大を防ぎ、施設内の他の動物たちの命を守るためには、この措置を講じる以外に道はありませんでした。」
施設側は、感染拡大を抑えるために、動物の隔離や衛生管理の強化など、迅速な対応に尽力してきました。また、感染した犬と接触した可能性のある動物を引き取った里親にも連絡を取り、状況の確認を行っています。幸いなことに、現時点では里親が預かっている動物からの陽性反応は確認されていません。
犬ジステンパーとは? 感染リスクと予防策
米国獣医師会(AVMA)によると、犬ジステンパーは犬や他の動物の間で広がる感染力の強いウイルス性疾患で、致死率も高いことが知られています。特に、生後4ヶ月以下の子犬やワクチン接種を受けていない犬は感染リスクが高いとされています。
alt犬ジステンパーは感染力が強く、子犬にとっては特に危険な病気だ。
感染した犬は、目や鼻からの分泌物、発熱、咳、嘔吐、下痢などの症状を示すことがあります。また、病気が進行すると、神経症状(けいれん、麻痺など)が現れることもあります。もし愛犬にこれらの症状が見られた場合は、すぐに獣医師に相談することが重要です。「早期発見・早期治療が、犬の命を守る鍵となります。」と獣医の田中先生(仮名)は強調します。
予防の重要性
犬ジステンパーの予防には、ワクチン接種が最も効果的です。子犬は適切な時期にワクチン接種を受け、その後も定期的な追加接種を行うことで、感染リスクを大幅に減らすことができます。また、感染した犬との接触を避けることも重要です。
この悲しい出来事は、私たちに動物の健康管理の重要性、そして感染症対策の徹底を改めて認識させてくれます。