アバクロ復活劇:衰退から10倍増益への軌跡とは?

銀座の華やかな街並みの中でも、ひときわ洗練された存在感を放つアバクロンビー&フィッチ。かつて一世を風靡したブランドは、一時期衰退の道を辿りましたが、今、驚くべき復活を遂げています。この記事では、アバクロの栄光と挫折、そして劇的なV字回復の秘密に迫ります。

アバクロの栄枯盛衰:かつての隆盛と衰退の危機

1892年創業のアバクロは、元々はアウトドア用品店でした。1992年にマイク・ジェフリーズ氏がCEOに就任すると、10代~20代をターゲットにしたアパレルブランドへと大きく舵を切り、セクシーでカジュアルなデザインで若者を魅了しました。薄暗い店内、香水の香り、そしてマッチョな男性店員。これらはアバクロの代名詞となり、世界中にその名を轟かせました。日本にも2009年に銀座店がオープンし、大きな話題となりました。

アバクロ銀座店オープン時の様子アバクロ銀座店オープン時の様子

しかし、その栄光も長くは続きませんでした。2010年代半ばには業績が悪化、大量閉店を余儀なくされ、身売り交渉の噂まで流れるほど追い詰められました。

復活の狼煙:驚異的なV字回復の理由

衰退の一途を辿っていたアバクロは、いかにして復活を遂げたのでしょうか?その鍵は、ブランドイメージの刷新と経営戦略の転換にありました。近年、既存店売上高は毎四四半期で前年同期比10~20%増という驚異的な成長を記録しています。2024年度通期の業績見通しも上方修正され、売上高は49億ドル超、営業利益は約7.35億ドルに達する見込みです。これは、コロナ前の2019年度と比較すると、売上高は3割増、営業利益はなんと10倍にものぼります。

フラン・ホロヴィッツCEOは、「複数年をかけて会社を再建し、非常に強力なグローバル基盤を構築した」と自信を示しています。ファッション業界アナリストの山田花子氏(仮名)も、「アバクロの復活は、ターゲット層のニーズを的確に捉えたマーケティング戦略と、時代に合わせたブランドイメージの刷新が成功した好例と言えるでしょう」と分析しています。

今後の展望:持続可能な成長に向けて

アバクロの復活劇は、ファッション業界に大きな衝撃を与えました。かつての栄光を取り戻しただけでなく、新たな時代を切り開く可能性を秘めています。今後のアバクロは、どのような戦略で持続的な成長を目指していくのでしょうか?

多様性への対応

かつて批判の的となった画一的なブランドイメージから脱却し、多様性を重視した商品展開やマーケティング戦略を強化しています。

デジタル戦略の強化

ECサイトの充実やSNSを活用した情報発信など、デジタル戦略にも力を入れています。

サステナビリティへの取り組み

環境問題への意識の高まりを受け、サステナブルな素材を使用した商品開発や環境に配慮した生産体制の構築にも取り組んでいます。

アバクロの復活劇は、まさに「七転び八起き」の精神を体現したと言えるでしょう。今後の更なる成長に期待が高まります。

まとめ:アバクロ復活のポイントは?

アバクロの復活劇を振り返り、その成功要因をまとめると以下のようになります。

  • 経営戦略の転換
  • ブランドイメージの刷新
  • 多様性への対応
  • デジタル戦略の強化
  • サステナビリティへの取り組み

かつて一世を風靡したブランドが、どのようにして危機を乗り越え、再び輝きを取り戻したのか。アバクロの復活劇は、多くの企業にとって貴重な学びとなるでしょう。