【安楽死】人生の最期を自ら選ぶ:カナダの事例に見る尊厳死の現実

人生100年時代と言われる一方で、高齢化社会の進展とともに「安楽死」という選択肢が現実味を帯びてきました。2016年に安楽死を合法化したカナダでは、法改正を重ねながら、現在では総死亡者数の約3%が安楽死を選択していると言われています。人生の最期を自ら選ぶ時代において、当事者や家族、そして医師はどのような思いを抱いているのでしょうか。本記事では、カナダの事例を通して安楽死の現状、そしてその選択を取り巻く様々な感情に迫ります。

死の介助(MAiD)がもたらす光と影

2018年7月31日、私は医師として死の介助(MAiD: Medical Assistance in Dying)に携わって1年半が経過していました。この間、MAiDがもたらす様々な側面を目の当たりにしてきました。

安楽死を選択する患者が、最終的な同意を表明する際に浮かべる安堵の表情。愛する人の最期を見守る家族や友人たちの深い悲しみと、その中に垣間見える静かな喜び。そして、残された家族が私に故人の思い出を語りながら、感謝の言葉を伝え、抱きしめ合う瞬間。

安楽死を選択する患者の家族安楽死を選択する患者の家族

私は、そんな時に涙を流さずにはいられません。ほとんど毎回、涙が溢れてきます。

ヨランダとの出会い:45歳、人生の選択

私がヨランダに初めて会ったのは、2017年11月のことでした。彼女は45歳という若さでしたが、30年間もの間、稀な肺疾患と闘っていました。彼女はハーバード大学の科学研究者として活躍し、スカイダイビングやスキューバダイビングを楽しむなど、精一杯人生を謳歌していました。友人たちは、彼女の勝ち気な性格から「ボス」と呼んでいました。

しかし、この2年間で病状は悪化し、彼女の生活は治療と痛みで支配されるようになりました。かつての活発な姿は失われ、人生の終焉を自ら選択することを決意したのです。

旅立ちの日:水色の絹のキモノと静かな決意

そして今日、ヨランダが安楽死を選択する日が訪れました。彼女は水色の絹のキモノ、縞模様のシャツ、レギンスを身につけ、ベルベットのスリッパを履いていました。鼻孔には、移動式の酸素タンクから伸びるチューブが繋がれていました。ヨランダは、自らの「旅立ち」に向けて、まるでパーティーのような華やかさと静かな決意を纏っていました。

専門家の見解:安楽死の倫理と法的課題

医療倫理の専門家である田中一郎教授(仮名)は、「安楽死は個人の尊厳と自己決定権を尊重する上で重要な選択肢となり得る一方で、生命倫理や法的課題も山積している」と指摘します。

尊厳死という選択:私たちにできること

ヨランダの事例は、安楽死という難しい選択が現実のものとなっていることを示しています。私たちは、死に対する考え方、そして人生の最期をどのように迎えたいのかを、改めて見つめ直す必要があるのではないでしょうか。

本記事を通して、安楽死を取り巻く現状について少しでも理解を深めていただければ幸いです。ご意見、ご感想はコメント欄にお寄せください。また、jp24h.comでは、様々な社会問題に関する情報を発信しています。ぜひ他の記事もご覧ください。