生産激減でバレンタイン直撃?日本の輸入の7割、西アフリカ・ガーナで起きている異変 破壊されたカカオ農地・・・生活の糧を手放す農家の事情と、変わるチョコレートの世界地図


【写真】日本も他人事ではいられない…アフリカの異常気象による「最悪のシナリオ」が現実に

※筆者が音声でも解説しています。「共同通信Podcast」でお聴きください。

 ▽気候変動に病害…でもそれだけではなかった

 アフリカ西岸で大西洋に面するガーナは人口約3400万人。植民地時代に南米原産で熱帯地方に生育するカカオが持ち込まれ、小規模農家を中心に現金収入を得る一大産業となった。農民たちの間では「カカオの木を植えれば子どもの教育費を賄うことができる」とされた反面、児童労働による栽培もたびたび問題視されてきた。

 ガーナにおける生産減は複数の要因で生じている。気候変動の影響によるとみられる天候不順や病害のまん延に加え、木の高齢化で1本当たりの収穫量が落ちたことも足かせとなってきた。そしてもう一つ、カカオ畑の下に眠る潤沢な希少鉱物が農地の破壊を招いている。
 ▽泥だらけの少年たちが血眼で探すもの

 翌日、地元の農家の畑を訪れた。カカオ豆はカカオの木の果実に含まれる種子で、発酵した豆を乾燥させてローストしたものからチョコができる。発酵前の種子を包む白い果肉を口に含むと、チョコとは似ても似つかない熱帯の果物のような甘い味がした。

 ふと顔を見上げると、畑の向こうで泥だらけの若者たちが一心不乱に土を掘り返している。「金を掘っているのさ」。案内してくれた地元農家のマシュー・ヌタさん(68)が教えてくれた。かつて畑だった場所が、採掘で次々に掘り返されているという。別の採掘現場でも重機が稼働し、灰色に濁った水に膝まで漬かった少年が血眼になって鉱石を選別していた。
 ▽謎の中国人男性、横行する違法採掘



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