米国とヨルダンの関係に緊張が走っています。ドナルド・トランプ前大統領が、パレスチナ自治区ガザの掌握と200万人以上の住民移住計画を再び表明し、ヨルダンへの受け入れ圧力を強めていることが明らかになりました。この大胆な計画は国際社会に大きな波紋を広げています。
ガザ地区「獲得」の真意とは?
トランプ前大統領は以前、ガザ地区を「買う」と発言していましたが、今回はその表現を曖昧にし、「ガザは私たちのものになる。買う必要はない」と繰り返しました。具体的な獲得方法については明言を避け、記者の質問にも「買う理由はない。ここはガザだ。戦争で荒廃した地域だ。我々がそこを掌握し、保持し、大切にするつもりだ」と抽象的な回答に終始しました。
200万人の移住計画、民族浄化との批判も
200万人以上もの住民を移住させるという前代未聞の計画に対し、民族浄化との批判も上がっています。しかし、トランプ前大統領はこれを否定し、「われわれは彼らを美しい場所に移す。そこで彼らは新しい家を持ち、安全に暮らし、医療サービスも受けられる」と主張。移住対象となる人々の数についても、「何十年、何世紀にもわたって起こったほかの出来事に比べれば、これは非常に少ない人数だ」と述べ、計画の正当性を訴えました。
ガザ地区の風景
ヨルダン国王、態度を保留 アラブ諸国との協議へ
トランプ前大統領はエジプトとヨルダンにガザ住民の受け入れを求めていますが、両国は強く反対しています。アブドラ国王も以前、ガザ併合とパレスチナ人追放への反対を表明していました。今回、国王はガザ問題に関する自身の立場を明らかにせず、「エジプトの提案を待っている」と述べるにとどまりました。前大統領の「ガザ占領」発言についても、「アラブ諸国として話し合うことになるだろう」と慎重な姿勢を示しています。
米国の援助停止の可能性も?ヨルダンへの圧力高まる
トランプ前大統領は、ヨルダンがパレスチナ人受け入れを拒否した場合、同国への援助停止を検討すると警告しました。米空軍基地を擁し、重要な情報共有同盟国でもあるヨルダンは、すでにトランプ政権下での対外援助停止の影響を受けており、更なる圧力に苦慮している状況です。
ヨルダン国王アブドラ2世
ガザの未来は?国際社会の動向に注目
トランプ前大統領のガザ掌握計画は、中東情勢に大きな影響を与える可能性があります。ヨルダンへの圧力、アラブ諸国の反応、そして国際社会の動向に注目が集まっています。今後の展開によっては、地域全体の安定が揺らぐことも懸念されます。