米トランプ政権がカナダとメキシコに25%の関税賦課を決めたことに対し、フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)が「米国の自動車業界に大きい打撃を与えるだろう」と懸念を示した。韓国の現代自動車や日本のトヨタ自動車など競合会社を名指しして「なぜこれらには関税を課さないのか」と公平性問題まで提起した。
ブルームバーグによると、ファーリーCEOは11日、ニューヨークでウルフリサーチが主催した自動車産業カンファレンスに参加し、「カナダとメキシコに対する25%の関税で米国の自動車業界はこれまで体験したことのない打撃を受けることになるだろう」と主張した。米国の自動車業界のためだとして投下した「関税爆弾」がむしろ米国の生産拠点に集中的に落ち被害を受けているという不満だった。
ウォール・ストリート・ジャーナルなどによると、昨年米国で販売された車の約16%はメキシコで、約7%はカナダで生産された。これらの国に25%の追加関税を課せば影響は大きいだろうという主張だ。トランプ大統領は今月初めに国境セキュリティとフェンタニル流入問題などを理由にカナダとメキシコに25%の関税を課すとし、両国から補完措置を約束されて1カ月間猶予した状態だ。
彼はまた「トランプ大統領は米国の自動車産業を強くし、米国の自動車生産を増やすと話してきたが、これまで私たちが見ているのは大きなコストと多くの混乱」と批判した。その上で「カナダとメキシコに対する関税はこれと同じ関税を適用されないアジアと欧州の競合会社にはメリットになるだろう」とした。
ファーリーCEOは7日に米デトロイトで開かれた昨年10-12月期の業績発表会場で、韓国の現代・起亜自動車、日本のトヨタなど特定競合会社の名前を出して「なぜこれら企業には関税を課さないのか」と強く問題提起した。当時彼は「年間数十万台の車を輸出しているトヨタと現代自動車は事実上関税なく車を売っている。トランプ政権が自動車産業に影響を及ぼす関税を施行するならすべての国を総合的に調べなければならない」と主張した。
◇電気自動車インセンティブ廃止猶予も要請
ファーリーCEOは今回のカンファレンスで、インフレ抑制法に基づいた電気自動車インセンティブ(税額控除)を一部維持してほしいという立場も表明した。ブルームバーグは消息筋の話として「トランプ政権は電気自動車税額控除廃止を検討中だが、これを3年間かけて段階的に廃止することを検討してほしいというのが米国の自動車メーカーの要請」と伝えた。企業は3年の猶予期間を置けば、その後は連邦政府の支援がなくても独自に電気自動車価格を引き下げて販売できると判断している。
フォードやゼネラルモーターズ(GM)は現在この懸案をめぐりトランプ政権と共和党議員を相手にロビーも展開している。GMのメアリー・バーラCEOが最近トランプ大統領と会って議論し、ファーリーCEOも連邦議員と連邦政府官僚らに会うため12日にワシントンDCを訪問する。彼らは共和党の勢力が強いジョージア州やアラバマ州などに電気自動車とバッテリー工場が多い点を掲げる計画だ。電気自動車インセンティブを突然廃止すれば価格上昇を招き、これら地域の雇用が減りかねないという主張だ。