米連邦議会上院は13日、トランプ大統領が厚生長官に指名したロバート・ケネディ・ジュニア氏の人事を承認した。採決結果は賛成52、反対48で、共和党からは重鎮のマコネル議員だけが反対に回った。環境弁護士から反ワクチン活動家に転じたケネディ氏の適格性を巡っては、科学界を中心に懸念の声が広がり、トランプ政権の要職人事で最も物議を醸すものの一つとなっていた。
ケネディ氏は医療保険制度から医薬品・食品の安全、感染症への対応、国内最大の医学研究機関まで所管する巨大な政府機関のかじ取りを担う。
反対した共和党のマコネル議員は幼少期にポリオを患った経験がある。ワクチンを巡る科学的根拠に乏しい主張や陰謀論めいた言説を広めてきたケネディ氏は、かつて「(ワクチンは)ポリオによって死亡したよりも多くの人を殺した」などと発言していた。
ケネディ氏は1月29日の議会公聴会で、「報道されているような反ワクチンでも反(製薬)業界でもない。安全賛成派だ」などと主張した。「米国を再び健康に」をスローガンに掲げ、慢性疾患を減らして平均寿命を延ばすことを目指すとしている。
民主党の名門一族出身のケネディ氏は、1963年に暗殺されたケネディ元大統領のおいにあたる。連邦司法長官を務めた父ロバート氏も68年に暗殺された。今回の大統領選に無所属で出馬を表明後、終盤でトランプ氏への支持に転じた。【ニューヨーク八田浩輔】