赤ちゃんのための紙おむつや粉ミルクを買いたいがお金がない。働きたくても、赤ちゃんを抱えては働けない。どこに相談すればいいかも分からない。八方ふさがりの困窮家庭が最も望む支援が、調査であぶりだされた。
貧困が乳幼児の健康を直撃
国際NGOのセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、同団体の支援事業の利用歴があり3歳以下の乳幼児がいる1873の低所得世帯を対象に、2024年夏にアンケート調査を実施。480人から回答を得た。
回答者の97.3%が母親で、71.9%がひとり親世帯だった。母親の就労形態は「パート・アルバイト」が最も多く31.9%、「働いていない」28.8%、「休職中」13.1%。「正職員・正社員」はわずか11.3%だった。乳幼児がいると働きづらい状況が浮き彫りとなっている。
家計は「赤字」と答えた世帯が6割以上で、生計の手立ては「児童手当」が72.7%、「就労収入」「児童扶養手当」が同率で58.1%だった。
こうした経済的な理由により、全体の約5割が「紙おむつ」を、約4割が「粉ミルク」を買えなかったことがある、と回答した。
その対処法として、おむつなら交換頻度を、ミルクは与える量を減らすなどが挙げられていたが、乳幼児の健やかな成育に影響が出るのは否めない。
いちばん欲しい支援は
生活保護の利用は検討されているのか。実際、「利用している・したことがある」は21.9%いた。ただ、それより多い36.7%が「利用に抵抗感があった」と答えている。加えて「利用のしかたが分からなかった」「制度やサービスを全く知らなかった」などの回答もそれぞれ12.5%あり、制度の認知が進んでいないという課題も判明した。
誰かに相談できれば、問題解決の糸口が見つかるかもしれない。しかし、子育ての中で孤独を感じることが「よくある」「ときどきある」を合わせると7割超に上ると分かった。
行政の目が届かない困窮家庭には、どのように手を差し伸べればよいのか。希望する支援を聞くと、実に86.5%が「紙おむつや離乳食など、乳幼児に必要な消耗品の定期的な受け取り」を挙げた。次いで「児童手当の第一子からの増額」「低所得世帯を対象とした出産・育児応援金の増額」など経済的支援を希望する声が多い。アンケートの自由記述欄には「相談してどうにかなるものではない」「紙おむつと粉ミルクさえあれば」といった要望が目に付く。
調査を実施したセーブ・ザ・チルドレンはこれらの結果を踏まえ、「紙おむつなど育児用品の低所得世帯向け支援や、特に支援が必要な妊産婦への対策強化を、こども家庭庁をはじめ関係省庁や自治体へ訴えていく」としている。