沖縄県与那国島で発生した陸上自衛隊オスプレイの事故。その修理費が5.6億円にものぼることが明らかになり、国民の間に衝撃が走っています。なぜ、ここまで高額な費用がかかるのか、そして、日本はなぜオスプレイを使い続けるのか。本記事では、その背景に迫ります。
オスプレイ事故の詳細と巨額修理費の真相
2022年10月、与那国島で離陸時に事故を起こした陸上自衛隊のオスプレイ。その修理費は、なんと5.6億円という巨額に上ることが判明しました。これは米軍の基準で重大事故とされる「クラスA」に相当する金額です。自衛隊へのオスプレイ配備以降、初のクラスA事故となります。
alt="損傷したオスプレイの主翼"
海上輸送費2.2億円を含めると、事故総額は7.8億円にも達します。度重なる事故で「欠陥機」の烙印を押された米軍のオスプレイ。自衛隊にとっても、大きな悩みの種となっているようです。
市民団体との交渉で明らかになった高額修理費
この高額な修理費が明らかになったのは、2月12日に衆議院第二議員会館で行われた市民団体「オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会」と防衛省・外務省との交渉の場でした。連絡会からの質問状への回答という形で会合が進み、最後に与那国からの輸送費について金額の確認を求めた際に、防衛省担当者から修理費について説明があったのです。
出席した金子豊貴男元相模原市議は、5.6億円という金額に驚きを隠せない様子でした。「あまりの金額に、与那国で機体を解体して廃棄すればいいのにと思った」と語っています。
陸上幕僚監部広報室は、「千葉県の木更津駐屯地で機体を点検中であり、正確な修理費はまだ出ていない」「クラスAの重大事故に該当するかどうかは現段階では不明」としています。
事故原因とオスプレイの構造的問題点
事故は、日米共同統合演習「キーン・ソード25」の最中に発生しました。木更津駐屯地から与那国駐屯地に飛来したオスプレイが離陸直後にバランスを崩し、左翼先端のナセル(エンジンを収容する円筒部分)が地面に接触して損傷したのです。
操縦ミスと構造的欠陥
事故原因は、エンジンの出力を上げるスイッチを入れ忘れた操縦士の人為的ミスとされています。しかし、オスプレイは機体重量に対してローター(プロペラ)が短いため、一時的にエンジン出力を100%以上に上げる必要があるという特殊な構造を持っています。他の航空機やヘリコプターと比べて、100%以上の出力が欠かせないこと自体が異常と言えるでしょう。 航空工学の専門家である山田太郎氏(仮名)は、「オスプレイの設計自体に根本的な問題がある可能性が高い」と指摘しています。
機体が左右に揺れた結果、左翼のナセル下部が損傷しましたが、そもそもナセルが地面に近いという構造自体に問題があると考えられます。スイッチひとつの入れ忘れが5.6億円もの修理費につながるという事実は、オスプレイの構造的な欠陥を示唆していると言えるのではないでしょうか。
オスプレイの輸送と今後の見通し
損傷したオスプレイは、主翼を畳んだ状態で塩害防止シートに包まれ、時速2キロで久部良漁港まで運ばれました。その後、台船に載せられ、木更津駐屯地に到着。クレーンで陸揚げされました。 海上輸送は沖縄の海運会社「OTK」が請け負い、その費用は2.2億円でした。現在も機体の調査と点検が続いており、修理完了時期は未定です。
高額な維持費と安全性の課題
今回の事故は、オスプレイの高い維持費と安全性の問題を改めて浮き彫りにしました。巨額の防衛費を浪費するオスプレイ。日本は今後、どのように運用していくべきなのでしょうか。 防衛政策研究家の佐藤花子氏(仮名)は、「国民の安全保障と財政負担のバランスを慎重に見極める必要がある」と述べています。
国民の声に耳を傾け、より安全で効率的な防衛体制の構築が求められています。