「東洋水産株式会社(マルちゃん)」の公式Xアカウントが2月6日に投した「赤いきつね」のアニメ動画が“性的”だと物議をかもしており、SNS上では賛否両論の議論を呼んでいる。
【写真を見る】「女からしたら本当に気持ち悪い」「どこがダメなん?」物議をかもした実際のCM内容
動画の内容は、若い女性が自宅で「赤いきつね」を食べるシンプルなものだ。女性が露出度の高い服装をしているわけでもなければ、男性に媚びを売るような態度を示しているわけでもない。
女性が頬を赤らめたり、口元がアップで映されていたりするシーンや、髪を耳元に上げる仕草を“性的”と感じる人がいたようで、「気持ち悪い」「不快」という声が上がっている。
こうした反応に対して、「クレーマー」「過剰反応」といった反発も出ており、議論が巻き起こっている状況だ。
【写真を見る】「女からしたら本当に気持ち悪い」「どこがダメなん?」物議をかもした「赤いきつね」の実際のCM内容(9枚)
■「赤いきつね」のCM内容に問題はない
SNSの声を見る限り、CM動画を擁護する意見のほうが優勢で、批判的な意見は少数派だった。
人々の意見はさておいても、このCM動画は、表現上問題があるとは思えないし、取り下げる必要もない。
しかしながら、今回の騒動は、今後の広告表現で考えるべき論点を提供しているのもまた事実であるように思う。
近年、広告表現で最も炎上が多いのがジェンダー表現に関するものだが、性的な表現が問題になることも多い。
昨年、マクドナルドの「いまだけダブチ食べ美」のキャラクターを論じた際にもいくつか例を挙げたのだが、日本でアニメやキャラクターの性的表現が議論になることは、過去にいくつもあった。
ただし、これまでは肌の露出が多かったり、女性の身体的特徴が過度に強調されたりしているものが大半だった。今回の「赤いきつね」のケースはそうした事例とは異なっている。
企業側も、性的な表現が炎上しやすくなっていることは重々理解しており、細心の注意を払うようになっている。
■「性的な表現」は効果よりもリスクが高い
1990年代くらいまでは、他の日本企業と同様、広告業界も男性中心の社会で、女性の管理職はごく少数だった。そのため、広告表現も男性目線になりがちな傾向も確かにあった。さらにその頃は、家計の収入源も男性のウエイトが高く、商品購入の意思決定も、男性の関与度が高かった。