【裏金問題は沈静か】都議会自民党は大負け回避へ…6月都議選を大混戦にする各会派の「不安要素」


裏金問題がトーンダウン

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「当初の目論見では、自民党が大敗して議席を大幅に失い、その議席をどこが奪うのかが争点とされていた。特に去年の都知事選挙で2位に躍進した石丸伸二氏(42)が立ち上げた新党『再生の道』は『全選挙区での擁立を目指す』と表明しており、各会派が警戒していた。

しかし、ここに来て自民党の裏金問題をかすませるような出来事が続いている。何より大きかったのは、フジテレビや元SMAPの中居正広氏(52)に関する報道が“裏金都議”の処分の発表と被ってしまったこと。自民党の裏金議員処分を1月24日の朝刊一面で報じたのは東京新聞のみ。その他の一般紙の一面は中居氏の芸能界引退だった。都議会は国会のような政倫審がないので、裏金議員が議会で釈明したり、追及されることもない。国政以上にトーンダウンしやすいという側面もプラスに働いた」

東京地検特捜部も動いたが、国政での裏金問題と同様、不記載を指示した者や経緯など詳細はわからないまま。結局、処分を受けたのは都議会自民党会計担当者の矢島英勝氏(72)だけだった。略式起訴で3年間の公民権停止と100万円の罰金刑が科せられるも、矢島氏は職員で出馬もしないので罰金のみのペナルティーといえよう。

都議会自民党の現職は30名で、そのうち16名に不記載があったが、都議は一人も立件されなかった。全国紙都政担当記者が解説する。

「裏金にかかわった国会議員で起訴されたのは4000万円以上の不記載があった者のみ。その基準にあてはめれば、裏金都議は最大で332万円(三宅正彦都議4期、島部)、最低で10万円(本橋巧都議1期、北多摩)と桁が違った。議員が誰も立件されなかったことで東京都連は胸を撫で下ろしている」

都議会自民党内では宇田川聡史議長(60)が議長職を辞任し、幹事長経験者の6人が都議選での公認を見送られ、無所属となったが、議員への処分はこれだけ。身内への甘い処分に憤ってか、都議会公明党は都議選で自民候補全員の支援を見送ることを決めた。

◆自民党内では「内紛」も

「公明党は都議選で20選挙区22人の候補擁立を決めている。公明党の候補者がいない選挙区では、引き続き自民の候補に公明党支持者の票がある程度、流れるのではないか。公認を外された6人の候補の選挙区に自民党が“刺客候補”を擁立することもない。支援団体など組織票を手堅くまとめ、それなりに善戦するのでは」(前出の全国紙記者)

瀕死の状態から息を吹き返しつつあるが、ダメージは負っている。かつて「都議会の首領(ドン)」と呼ばれた故・内田茂元幹事長は他党や警視庁にもパイプを持ち、「都知事も動かせる」と恐れられていた。在職中は内田氏やその側近が人事権を握っていたが、内田氏が’22年に亡くなり、薫陶を受けた高島直樹元幹事長、山崎孝明江東区長も亡くなった。

「萩生田光一元都連会長(61)も旧安倍派の政治資金パーティーを巡る裏金問題で求心力を失った。故・山崎江東区長の息子で元都議の一輝氏(52)も落選中。東京都連内に顔役が不在で、方向性が打ち出せない。

東京9区の支部長を務める菅原一秀元経産相(63)は自身の子飼いの元区議を都政に出馬させるため、現職の山加朱美都議(71)の公認に待ったをかけていた。国民民主党の石黒達男練馬区議(50)は都議へのステップアップを狙っており、自民党内部で足を引っ張り合う間に他党は準備を着々と進めています」(現役の練馬区議)

最大会派として君臨してきた自民党も議席を減らすこととなろう。混戦が予想される都議選で、どの党が抜け出すのか。

42の全選挙区への候補者擁立を高らかに掲げ、脚光を浴びる石丸新党もここに来て急展開を迎えている。週刊文春が2週にわたり、石丸陣営に公職選挙法違反の疑いがあると報じ、市民団体による刑事告発がなされた。

「文春の記事には内部からのリークでなければ知りえない情報が含まれており、石丸陣営で内紛が起きていることがうかがえます。石丸氏は再生の道の候補者選定を行う面接官に『アルバイト代を払う』と発言している。公職選挙法は資金力のある候補が優位にならないように、という発想で報酬の支払いには厳しい。こちらも違法となる可能性がある。文春の報道と刑事告発を受け、検察が本格的に捜査に着手すれば石丸氏の求心力もガタ落ちとなるだろう」(都庁幹部)

次々と事態が急展開し、先が見えそうもない都議選。どの党が都民の心をつかむのだろうか。

取材・文:岩崎大輔

FRIDAYデジタル



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