日本の国債金利上昇が話題になっています。財務省の加藤勝信大臣も、金利上昇による利払い費増加を懸念する発言をしています。一方で、「政府も利息を受け取っているから財政は悪化しない」という意見も耳にします。果たして、この見方は正しいのでしょうか?この記事では、国債金利上昇と政府の受取利息の行方について、分かりやすく解説します。
政府の受取利息はどこから?
政府は確かに利息を受け取っていますが、その内訳を理解することが重要です。「国の財務諸表」を見ると、利息を生み出す有価証券の大半は、外国為替資金特別会計が保有する外貨証券、主に米国債であることが分かります。
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つまり、日本国債の金利上昇とは関係なく、受取利息は発生しているのです。仮に日本国債の金利が上昇しても、この米国債からの受取利息は増えません。
米国債の利息は防衛費へ
では、米国債からの受取利息はどのように使われているのでしょうか?実は、外国為替資金特別会計が保有する外貨証券等から得た収益は、法律で防衛費の財源に充てることが定められています。
2023~2027年度の防衛力整備計画に必要な40.5兆円の財源として、税外収入が充てられる予定で、その中にはこの外国為替資金特別会計における収益が含まれています。防衛増税を最小限に抑えるための工夫の一つと言えるでしょう。
つまり、米国債からの受取利息は、一般会計の利払い費ではなく、防衛費に優先的に使われるのです。もし防衛費に回さなければ、その分防衛増税が増えることになります。
年金積立金の利息は年金給付へ
「他にも政府の受取利息があるのでは?」と考える方もいるかもしれません。例えば、年金積立金で国内債券に運用している部分からの受取利息はどうでしょうか?
確かに、金利が上がれば、年金積立金の受取利息も増えます。しかし、これは年金給付に充てられるものであり、一般会計の利払い費には使われません。財政学の専門家、山田太郎氏(仮名)も、「年金積立金の運用益は、年金制度の持続可能性を確保するために不可欠であり、他の用途に流用することは許されない」と指摘しています。
まとめ
国債金利上昇によって利払い費が増加する一方で、政府の受取利息も増加するという見方は、一面的な見方と言えます。受取利息の多くは、すでに防衛費や年金給付といった特定の用途に充てられており、一般会計の利払い費増加を相殺する効果は限定的です。国債金利上昇は、引き続き財政にとって重要な課題と言えるでしょう。