円安下でも外国人が日本を選ぶ理由:永住資格と特定技能制度の魅力

人口減少と国内市場の縮小という課題に直面する日本にとって、外国人材との共生は避けて通れない現実です。しかし、異なる言語や文化を持つ人々と共に生きることは、理想論だけでは語れません。人材マッチングを手掛ける中村大介氏の著書『日本人が知らない 外国人労働者のひみつ』では、現場の生々しい実情と、外国人労働者と効果的に共生するためのヒントが包み隠さず紹介されています。今回は、外国人材の視点から見た日本の永住資格の魅力に焦点を当てます。

日本経済における外国人材の不可欠性

「正直なところ、外国人材に対してネガティブな印象を抱いてしまった」「面倒なことになりそうだから、なるべく関わりたくない」と感じる方もいるかもしれません。しかし、日本経済が外国人材に頼らずには成り立たないと断言できます。政府もこの現状を深く理解しており、今後ますます「外国人材ウェルカム」の姿勢を強めていくでしょう。人口減少が進む中、労働力不足は深刻化の一途を辿り、外国人労働者の存在は社会インフラを支える上で不可欠な要素となっています。

円安下でも日本が選ばれる理由:永住資格への道

急速な円安が進行する今日、日本の国際的な地位は以前にも増して低下しています。海外で働きたいと考えるアジア諸国の人々の間では、韓国やオーストラリアの方が圧倒的に人気です。実際、日本人がワーキングホリデーでオーストラリアに行けば、かなりの貯蓄ができる時代。単に高収入を求めるのであれば、日本は最適な選択肢とは言えません。

では、なぜ彼らは日本を目指すのでしょうか。その最大の理由は、日本が外国にとって永住資格を取りやすい国だからです。ある意味、日本は世界で最も永住権を獲得しやすい国の一つと言っても過言ではありません。

日本のオフィスで働く多様な外国人材のイメージ。国際的な労働環境と共生社会の促進を示す。日本のオフィスで働く多様な外国人材のイメージ。国際的な労働環境と共生社会の促進を示す。

他の多くの国々では、外国人に永住資格を与えるにあたり、非常に厳しい制限を設けています。スポーツ選手のような特殊な技能を持つ人材、あるいは巨額の資産家でもない限り、基本的に高学歴で専門性の高いスキルを持つエリートホワイトカラーであることが条件となります。

特定技能制度を通じた永住資格取得のプロセス

現在の日本の制度はどのようになっているのでしょうか。まず、外国人が日本で働くための在留資格として「特定技能1号」があります。これは永住資格ではなく、期限付きの在留資格ですが、学歴要件はありません。基本的に、業種ごとの筆記試験に合格し、日本語能力検定N4以上を取得すれば、特定技能1号になることが可能です。

問題はその後です。「特定技能」には2号も存在します。特定技能2号にレベルアップするためには、1号として一定期間働き、経験を積む必要があります。例えば、勤務先で2年以上店舗管理の補助(副店長やサブマネージャー)として実務経験を積むことが求められます。

実務経験の要件を満たした後、再度試験があります。この試験は1号に比べて難易度が高まります。無事に試験に合格し、さらに(外食業に限り)日本語能力検定N3以上を取得すれば、特定技能2号になることができます。この特定技能2号を取得すると、実質的に永住資格を手に入れることが可能となり、家族を呼び寄せて一緒に暮らすことも認められるのです。

結論

日本の人口減少と労働力不足は深刻化しており、外国人材の受け入れは日本経済にとって不可欠です。円安の影響で経済的な魅力が薄れる中でも、日本が多くの外国人材を引きつけ続ける背景には、他国に比べて比較的容易な永住資格取得の道が存在することが挙げられます。特に特定技能制度は、専門性の高いエリート層でなくとも、実務経験と語学力を通じて日本での永続的な生活を可能にする重要な経路となっています。今後も日本は、外国人材とのより良い共生社会を築き、その活力を最大限に引き出すための政策調整が求められるでしょう。

参考資料

  • 中村大介 著『日本人が知らない 外国人労働者のひみつ』