ウクライナの豊富な鉱物資源をめぐり、米国との共同開発に向けた交渉が最終段階に入っています。ゼレンスキー大統領の訪米で、両国の協力関係が新たな局面を迎えるのでしょうか。この記事では、ウクライナと米国の資源開発交渉の現状と今後の展望について詳しく解説します。
米ウクライナ資源開発交渉の現状
複数の米欧メディアによると、ウクライナと米国は鉱物資源の共同開発などを盛り込んだ文書の内容で既に大筋合意に至っています。ゼレンスキー大統領は署名のため、近日中に訪米する方向で調整が進められていると報じられています。
alt
BBC放送の報道によると、ゼレンスキー大統領は資源に関する合意が更なる取引につながることに期待を示しています。しかし、ウクライナ側が強く求めてきた「安全の保証」については、依然として合意に至っていないことを認めています。
トランプ大統領とゼレンスキー大統領:確執と関係修復への期待
ロシアのウクライナ侵攻終結に向け、トランプ前米大統領はウクライナを介さずにロシアとの対話を開始しました。ゼレンスキー大統領はロシアへの接近を強めるトランプ氏を批判し、トランプ氏もゼレンスキー氏を非難するなど、両者の関係には亀裂が生じていました。今回の訪米で関係修復が実現するかが注目されます。
トランプ氏はゼレンスキー大統領の訪米について肯定的な姿勢を示しており、共同での署名にも前向きな発言をしています。
合意内容と今後の展望
報道によれば、合意案では米国とウクライナが鉱物資源を共同開発し、新たに基金を創設して収益を管理するとしています。この収益は米側に還元される仕組みとなっており、ウクライナ支援に投じた資金の回収を目指すトランプ氏の意向が反映されているとみられます。
「安全の保証」と米国の役割
ウクライナ側は「安全の保証」を求めていましたが、合意文書では「安全」という言葉は使われているものの、米国の具体的な役割は明示されていない模様です。米国抜きの枠組みではロシアの再侵攻を抑止できないというウクライナや欧州の懸念に対し、トランプ氏は欧州諸国が責任を負うべきだと主張し、米国の関与については交渉中との説明にとどめています。
alt
しかし、ウォルツ前大統領補佐官(国家安全保障担当)は、米国との経済協力はウクライナにとって有益だと指摘しています。トランプ政権は、鉱物資源の共同開発が実現すれば、ロシアも米国の権益を脅かすような行動を取りにくくなると考えているようです。
ウクライナと米国の資源開発協力は、両国の経済関係を強化するだけでなく、地政学的にも大きな影響を与える可能性があります。今後の展開に注目が集まります。