群馬県の防災ヘリコプター「はるな」が同県中之条町の山中に墜落し、搭乗員9人が全員死亡した事故は10日で発生から1年3カ月を迎える。これに先立ち、県殉職消防職団員慰霊祭が7日、県消防学校(前橋市)の慰霊碑前でしめやかに執り行われた。はるなの搭乗員のうち県内の消防職員7人の遺族や関係者ら約130人が出席した。
式典では県消防協会会長の山本一太知事が殉職者7人の名前が記された名簿を奉納後、参加者全員が黙祷(もくとう)をささげた。
山本知事は式辞で「殉職された方々に深い敬意を表するとともに、安全で安心して暮らせる地域づくりに励んでいきたい」と述べた。前橋市消防局音楽隊の演奏する曲が静かに流れる中、遺族や消防関係者らが白いキクの花を手向けた。
県によると、式典に参加した遺族は33人。このうち、はるな墜落事故の殉職者の遺族は29人だった。明治27(1894)年の消防組規則施行から令和元年度までの殉職者は計93人となった。
吾妻広域消防本部に所属していた蜂須賀雅也さん=当時(43)=の父、保夫さん(68)は「墜落現場へは険しくて距離があり登るのが大変。高齢者でも行けるような道の整備と慰霊碑を早く造ってほしい」と訴えた。
山本知事は報道陣に「墜落現場への登山道は、ご遺族の意見を聞いた上で調査し、ルートを検討したい」と話した。
事故は昨年8月10日に発生。登山道の視察をしていた、はるなが中之条町の山中に墜落し、県防災航空隊と吾妻広域消防本部の職員計9人が死亡した。うち2人はヘリの運航委託先だった東邦航空(東京)社員で県に出向中だった。