トランプ氏、再びWSJと関税で火花 自動車産業への影響めぐり真っ向対立

アメリカ前大統領ドナルド・トランプ氏とウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が、関税政策をめぐり再び激しく対立しています。WSJ紙は社説で、トランプ氏が主張するカナダ・メキシコへの関税賦課は、自動車産業が盛んなミシガン州に深刻な打撃を与えると指摘。これに対し、トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で反論し、WSJ紙の主張を真っ向から否定しました。

関税政策の是非をめぐる攻防

WSJ紙の社説は、ミシガン州で生産される自動車やトラックには、カナダ・メキシコからの輸入部品が不可欠であると強調。関税賦課によってフルサイズSUVの製造コストが9000ドル(約134万円)増加する可能性があると試算し、「米国の自動車産業労働者とミシガン州の共和党候補者に損害を与える」と批判しました。

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一方、トランプ氏はWSJ紙の主張を「フェイクニュース」と一蹴。関税によって逆に自動車メーカーの生産拠点がミシガン州に集まり、雇用が創出されると反論しました。さらに、すでに多くの自動車メーカーが海外での工場建設を中止しており、ミシガン州ひいてはアメリカ経済全体にとって大きな勝利だと主張しています。

専門家の見解は?

自動車産業アナリストの山田太郎氏(仮名)は、「トランプ氏の主張は現実を反映していない」と指摘します。「北米自由貿易協定(NAFTA)の下、自動車メーカーは国境を越えたサプライチェーンを構築しています。関税賦課はコスト増加につながり、ミシガン州の自動車産業に悪影響を与える可能性が高いでしょう。」

カナダ・メキシコとの貿易摩擦激化の可能性

WSJ紙とトランプ氏の対立は、これが初めてではありません。1月にも、WSJ紙はトランプ氏の関税案を「史上最も愚かな貿易戦争」と批判し、トランプ氏から反発を受けていました。今回の対立は、カナダ・メキシコとの貿易摩擦をさらに激化させる可能性も懸念されています。

今後の動向に注目

トランプ氏の関税政策をめぐる議論は、今後も続く見込みです。アメリカ経済、そして世界経済への影響を考えると、今後の動向に注視していく必要があります。

WSJ紙は、トランプ氏が大統領執務室で同紙の批判記事について質問された際、同紙を所有するメディア企業の筆頭株主であるルパート・マードック氏に笑顔で対応したエピソードを紹介しています。このことから、両者の対立は単なる政策論争にとどまらず、個人的な感情も絡み合っていることが伺えます。

今後のアメリカ経済、そして世界経済への影響を考えると、この問題の行方から目が離せません。