3.11の津波で息子を失った夫婦の物語:絵本「ふしぎな光のしずく」に込められた想い

東日本大震災の津波で最愛の息子を失った夫婦が、その悲しみを乗り越え、未来への希望を託した絵本「ふしぎな光のしずく~けんたとの約束~」を出版しました。この絵本は、息子との思い出、そして未来へのメッセージが詰まった感動の物語です。

野球少年「けんた」と父との約束

主人公「けんた」は、幼い頃から木登りが大好きで、活発な野球少年でした。父との「一度始めたことは続けること」という約束を守り、小学校から高校まで野球に打ち込み、高校時代には正捕手としてチームを県大会ベスト8に導きました。

活発な野球少年「けんた」活発な野球少年「けんた」

地元への貢献を夢見て銀行員に

大学卒業後、地元に貢献したいという思いから七十七銀行に入行。女川支店に勤務していた「けんた」は、東日本大震災の津波に巻き込まれ、帰らぬ人となりました。

津波にのまれたあの日、そして絵本への想い

2011年3月11日、大津波警報発令の中、行員は支店の屋上に避難。しかし、津波は屋上をはるかに超える高さに達し、「けんた」を含む12人が犠牲になりました。絵本には、津波が迫る中、海に飛び込む「けんた」の姿が描かれています。両親は、目撃証言から、息子が最後まで生き抜こうとしたと信じています。

深い悲しみに暮れる中、夫婦は支援者と出会い、絵本制作を決意。震災の記憶、息子への愛情、そして未来への希望を込めて、絵本「ふしぎな光のしずく~けんたとの約束~」が完成しました。

絵本に込められたメッセージ:企業防災の大切さ

田村孝行さんは、一般社団法人「健太いのちの教室」を設立し、企業防災の重要性を訴えています。会社の責任を追及する裁判を起こすも敗訴しましたが、それでも諦めず、命を守るための活動を続けています。

記憶を未来へ:命の大切さを伝える活動

夫婦は、健太さんの思い出の地、宮城県松島町に拠点を構え、畑で野菜を育てながら、命の尊さを伝えています。絵本を通じて、未来を担う子どもたちに命の大切さを伝えたいという願いが込められています。

「光のしずく」となって未来を照らす

絵本「ふしぎな光のしずく~けんたとの約束~」は、亡き息子「けんた」との約束、そして未来への希望を伝える感動の物語です。悲しみを乗り越え、未来への光を見出した夫婦の想いが、読者の心に深く響くことでしょう。