日本の防衛戦略に大きな動きが。石破茂首相がドナルド・トランプ前大統領との会談で、アメリカ製輸送機、具体的にはC-17グローブマスターIIIの購入を打診していたことが共同通信の報道で明らかになりました。この動きは、日本の空輸能力強化への布石となるのでしょうか?
C-17導入の背景:老朽化進む日本の輸送機 fleet
日本の航空自衛隊は現在、C-2、C-1、C-130H、KC-130H、KC-767、KC-46Aといった様々な輸送機を運用しています。しかし、C-1は2024年度中に退役予定。C-130H系列も老朽化が進んでおり、輸送機 fleet の刷新が急務となっています。
アメリカ空軍のC-17輸送機
2018年の防衛計画の大綱、そして2022年の国家防衛戦略では「機動展開能力」の強化が明記されています。これは、災害派遣や国際貢献など、様々な場面で迅速な対応を可能にする輸送能力の重要性を示しています。C-17の導入は、この機動展開能力を飛躍的に向上させる可能性を秘めているのです。
大型輸送機C-17:メリットとデメリット
C-17は最大77トンの貨物を搭載できる大型輸送機。長距離飛行能力にも優れ、世界各国で活躍しています。防衛アナリストの佐藤一郎氏は、「C-17は、人員や物資の大規模輸送に最適であり、災害時の緊急支援や国際平和協力活動において大きな役割を果たすでしょう」と語っています。
しかし、C-17の導入には課題も存在します。その大きさゆえ、運用できる空港が限られる点が懸念材料の一つ。過去にも、C-1の後継機候補として検討されましたが、この点がネックとなり見送られています。
中古機購入の可能性とトランプ前大統領との駆け引き
C-17の生産ラインは2015年に閉鎖されているため、導入する場合は中古機を購入するしかありません。共同通信によると、石破首相は防衛費増額を要求するトランプ前大統領に対し、アメリカ製防衛装備品の調達拡大を提示したとのこと。しかし、中古機の購入は、高額取引を好むトランプ前大統領にとって魅力的な提案だったのかは疑問が残ります。
日本の防衛戦略の今後
石破首相がC-17導入を打診した真意はどこにあるのでしょうか?軍事ジャーナリストの竹内修氏は、「水面下で輸送機戦力の増強・刷新計画が検討されており、C-17購入の可能性を探る目的があったのではないか」と分析しています。
C-17導入の行方は、今後の日本の防衛戦略を占う上で重要なポイントとなるでしょう。果たして、大型輸送機C-17は日本の空を飛ぶことになるのでしょうか?