【ワシントン=塩原永久】国際通貨基金(IMF)は24日、世界経済見通しの改訂版を発表し、2020年の世界実質成長率をマイナス4・9%と予測した。新型コロナウイルスの打撃が想定よりも深刻なため、前回4月の予測から1・9ポイント下方修正した。日本も0・6ポイント引き下げ、マイナス5・8%とした。景気回復はもたつき、21年も世界全体で従来予測より0・4ポイント低いプラス5・4%にとどまる見通しだ。これを受け、IMFは、世界全体の総生産(GDP)が来年までの2年間で約12兆5千億ドル(約1300兆円)失われると試算した。
IMFは4月の改訂で予測を大きく引き下げ、20年の世界経済が「(1930年代の)世界恐慌以来、最悪の景気後退になる」と指摘した。わずか2カ月あまりで一層の景気下振れが予想されるため再改訂した。
IMFチーフエコノミストのゴピナート氏は記者会見し、「2020年の景気後退がさらに深刻になり、21年の回復も緩慢になりそうだ」と説明した。世界各国が厳しい感染防止策を実施して、個人消費や企業の投資が減少したという。
米国が20年にマイナス8・0%と、4月から2・1ポイント下方修正した。21年はプラス4・5%に持ち直すが、予測を0・2ポイント下げた。ユーロ圏は20年にマイナス10・2%に落ち込む。フランスやイタリア、スペインが軒並み2桁の減速となり、ユーロ圏全域の成長率を2・7ポイント低くした。
日本は21年も0・6ポイント引き下げてプラス2・4%と予測。中国は20年が0・2ポイント下げてプラス1・0%、21年は1・0ポイント低いプラス8・2%を見込んだ。
IMFは世界経済が4~6月期に底を打ち、その後は持ち直すとみているが、見通しには「大きな不確実性」があるとした。21年前半に「第2波」が起きた場合、営業規制などの再開で同年の成長率が押し下げられて「ゼロ%成長になる」(ゴピナート氏)との悲観的なシナリオも示した。