韓国の若者、特に女性の間に広がる海外移住への憧れ。映画「ケナは韓国が嫌いで」は、そんな社会現象をリアルに描いた作品です。この映画は、私たちに何を問いかけているのでしょうか？
韓国の若者を苦しめる「ヘル朝鮮」とは？
2015年に出版された原作小説「韓国が嫌いで」は、「ヘル朝鮮」や「スプーン階級論」といった言葉が流行していた時代に生まれました。これらの言葉は、若者たちの閉塞感を象徴しています。セウォル号沈没事故も、社会不安を増幅させた一因と言えるでしょう。映画版は日本で2020年に公開され、日本社会との共通点も多く、大きな反響を呼びました。
alt="映画「ケナは韓国が嫌いで」のワンシーン。主人公ケナが電車に乗っている様子"
ニュージーランドへ…ケナの決断
主人公のケナは28歳の会社員。ソウルでの満員電車通勤、古い団地暮らし、退屈な仕事…一見安定しているように見える生活ですが、彼女は「韓国では生きていけない」と感じ、ニュージーランドへの移住を決意します。
なぜケナは韓国を離れるのか？
チャン・ゴンジェ監督は、ケナとは世代も性別も違いますが、韓国社会の息苦しさに共感しています。韓国は多様性への許容力が弱く、様々な格差や差別が存在すると指摘します。
著名な社会学者、パク・ミンソク氏（仮名）も、「韓国社会は競争が激しく、若者たちは常にプレッシャーにさらされている」と述べています。
韓国社会の現実と若者の選択
韓国では「インソウル」という言葉があるように、ソウルでの成功が重視されます。若者たちは激しい学歴競争、就職競争に巻き込まれ、大きなプレッシャーを感じています。OECD加盟国でワースト1位である韓国の自殺率も、この社会の厳しさを物語っています。そして、こうした状況から逃れるため、海外移住を希望する若者が増えているのです。
alt="映画「ケナは韓国が嫌いで」のポスタービジュアル"
未来への希望を求めて
ケナのように、未来への希望を求めて海外へ飛び出す若者たち。映画「ケナは韓国が嫌いで」は、彼らのリアルな姿を通して、私たちに現代社会の課題を突きつけています。 この映画は、私たち自身の生き方、そして社会のあり方について、深く考えさせるきっかけとなるでしょう。
