商業捕鯨再開で法改正へ 超党派で提出 食文化継承、利用促進



 北海道釧路港で水揚げされるミンククジラ。超党派の国会議員が商業捕鯨再開で法改正へ動き出した
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 今年7月、31年ぶりに商業捕鯨が再開されたのを受け、超党派の国会議員が調査捕鯨に関する法律の改正案を参院に提出する方針を固めたことが11日、分かった。目的をクジラ資源の科学調査から「持続的な利用の確保」に切り替え、国際法に基づき捕鯨業を適切な範囲で行うことが柱。商業捕鯨に反発する欧米諸国などの理解を得る狙いもあるとみられる。今国会中に全会一致の成立を目指し、13日に超党派の会合を開く。

 改正案は、現行の鯨類科学調査実施法(平成29年6月施行)を「鯨類の持続的な利用の確保に関する法律」に改め、国の責務に関し「持続的な利用の確保のための施策を総合的に策定し、実施する」と明記する。

 基本原則として捕鯨業は国際法に基づき、科学的に算出した種類ごとの年間捕獲可能量の範囲内で実施する。調査は持続的な利用に必要な科学的知見を得るために行い、研究成果の公表を通じた国際協力の推進を掲げる。

 捕鯨業の円滑な実施に向け、政府が船や乗組員の確保、技術開発に必要な措置を講ずるほか、違法に捕獲された鯨類の流通防止のため個体識別に関わる情報を適正に管理すると定める。反捕鯨団体の妨害に対応するため、国が支援する対象に調査実施者に加えて捕鯨業者を追加。食文化継承に向け、学校給食などでの鯨類の利用促進も盛り込む。

 日本はこれまで科学的データに基づく持続的な商業捕鯨を目指してきた。しかし、クジラ資源を管理する国際捕鯨委員会(IWC)は反捕鯨国が加盟国の過半数を占めて保護に偏っている。このため、政府は「異なる意見が共存する可能性すらない」と判断し、6月30日にIWCを脱退。7月から日本の領海と排他的経済水域(EEZ)に限定して商業捕鯨を再開した。



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