妊娠は人生における大きな喜びであり、同時に様々な不安も伴います。お腹の赤ちゃんの健康状態を調べる出生前診断は、そんな不安を解消してくれる一つの手段です。中でも近年注目を集めているのがNIPT（新型出生前診断）で、妊婦の血液から胎児の染色体異常の可能性を調べることができます。手軽に受けることができるNIPTですが、その結果によって人生が大きく変わる可能性があることも忘れてはなりません。この記事では、35歳でNIPTを受けた麻衣さん（仮名）の体験を通して、NIPTを受ける前に知っておくべきこと、そして検査結果と向き合う上で大切なことをお伝えします。
NIPTとは？そのメリットとデメリット
NIPTは、妊婦の血液中に含まれる胎児のDNAを分析することで、ダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーといった染色体異常の可能性を調べる検査です。従来の出生前診断に比べて妊婦への負担が少なく、精度の高い検査として知られています。 しかし、NIPTは確定診断ではなく「スクリーニング検査」であることを理解しておく必要があります。つまり、陽性結果が出た場合でも、確定診断のために羊水検査などの侵襲的な検査が必要となります。また、NIPTですべての染色体異常を検出できるわけではありません。
NIPT検査のイメージ
麻衣さんのケース：陽性結果と向き合う葛藤
35歳で妊娠した麻衣さんは、NIPTを受け、陽性結果を受け取りました。将来への不安、周囲の目、様々な思いが頭を駆け巡り、麻衣さんは中絶という選択を考え始めます。「元気な赤ちゃんを産みたい」という願いと、陽性結果がもたらす不安との間で葛藤する麻衣さんの姿は、NIPTを受ける妊婦が直面する現実を浮き彫りにしています。
思いがけない結果と向き合う
麻衣さんは、陽性結果にひどく動揺し、中絶手術を申し込むまで追い詰められました。しかし、担当医の適切な対応とカウンセリングによって、麻衣さんは改めて自分自身の気持ちと向き合うことができました。「本当に大切なことは何か？」麻衣さんの葛藤は、私たちに多くのことを考えさせます。
麻衣さんが住むマンションのイメージ
NIPTを受ける前に考えておくべきこと
NIPTを受けるかどうかは、個人の選択です。しかし、検査を受ける前に、結果が陽性だった場合にどうするか、パートナーとよく話し合っておくことが大切です。日本産婦人科学会や日本医学会のガイドラインなども参考に、十分な情報を得た上で、検査を受けるかどうかを判断しましょう。NIPTを受けることで、安心感を得られる人もいれば、逆に不安が増してしまう人もいます。それぞれの状況に合わせて、専門家への相談も検討してみてください。
専門家の意見：遺伝カウンセリングの重要性
遺伝カウンセラーの佐藤先生（仮名）は、「NIPTを受ける前に、遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします」と述べています。「遺伝カウンセリングでは、NIPTのメリット・デメリットだけでなく、検査結果が陽性だった場合の選択肢や、それぞれの選択肢に伴うリスクについても詳しく説明します。十分な情報を得た上で、検査を受けるかどうか、そして結果とどう向き合っていくかを考えていくことが重要です。」
希望の光：次男・湊君の誕生
麻衣さんは、様々な葛藤を乗り越え、無事に出産。次男・湊君を授かりました。湊君との出会いは、麻衣さんに大きな喜びと希望をもたらしました。麻衣さんの体験は、NIPTと向き合う妊婦とその家族にとって、大きな勇気を与えてくれるでしょう。
まとめ：NIPTと向き合うために
NIPTは、妊娠中の不安を解消するための有効な手段の一つですが、検査を受ける前に、メリット・デメリット、そして結果とどう向き合っていくかを十分に考えておくことが大切です。この記事が、NIPTを受けるかどうか迷っている方、そして検査結果と向き合っている方の参考になれば幸いです。
