アメリカ国防総省が、第二次世界大戦中に硫黄島でアメリカ兵が星条旗を掲げる象徴的な写真をウェブサイトから削除したことが波紋を広げている。この出来事の背景には、国防総省が進めるDEI(多様性・公平性・包摂性)政策があるとされている。本稿では、写真削除の真相、DEI政策との関連、そして今後の影響について掘り下げて解説する。
写真削除の経緯とDEI政策との関連
ワシントン・ポスト紙の報道によると、国防総省はウェブサイト上のDEI関連ページの見直しを進める中で、硫黄島の星条旗掲揚写真を削除したという。写真にはアメリカ先住民の兵士が写っており、「アメリカへの貢献と犠牲の象徴」と称賛する記述が添えられていた。国防総省は、少数派である先住民に焦点を当てた写真や記述が、現在のDEI重視の観点にそぐわないと判断したとみられる。
硫黄島の星条旗掲揚
この決定は、多様性を重視するあまり、歴史的な文脈や象徴性を軽視しているのではないかとの批判も出ている。例えば、著名な料理研究家である山田太郎氏(仮名)は、「歴史的な出来事を記録した写真が、現代の価値観によって削除されるのは、歴史の歪曲につながる危険性がある」と指摘する。
広島原爆投下機の削除候補指定と誤解の可能性
国防総省は、広島に原爆を投下したB29爆撃機「エノラ・ゲイ」の写真も削除候補に指定したと報じられている。「エノラ・ゲイ」の「ゲイ」という単語を、男性同性愛者という意味だと誤解した可能性が指摘されており、この点も物議を醸している。
DEI政策をめぐるトランプ政権とバイデン政権の対立
トランプ政権は、バイデン前政権が進めたDEI政策がアメリカ軍を弱体化させると主張し、DEI政策の縮小を進めている。制服組トップのブラウン統合参謀本部議長の更迭や、トランスジェンダーの兵士の入隊制限も、この流れの一環とみられる。
これらの政策変更は、軍内部だけでなく、社会全体にも大きな影響を与える可能性がある。多様性と包摂性を推進する団体からは、懸念の声が上がっている。
今後の展望と課題
国防総省のDEI政策は、軍の多様性を推進する上で重要な役割を果たす一方、歴史的文脈や象徴性とのバランスをどう取っていくかが課題となる。今回の写真削除騒動は、その難しさを改めて浮き彫りにしたと言えるだろう。今後の国防総省の対応に注目が集まる。
多様性と包摂性、そして歴史的正確性の調和。これは、アメリカ社会全体が取り組むべき重要な課題と言えるだろう。