金沢美術工芸大学で、思わぬ騒動が起きました。2025年3月6日に行われた一般入試の実技試験において、特定の絵画技法の使用が禁止されていたことが、試験中に受験生に伝えられたのです。事前に告知がなかったこの措置に、受験生からは「不公平だ」といった声が上がり、大学側にも4件の指摘が寄せられました。
一体何が起きたのでしょうか? 今回問題となったのは、デザイン科ホリスティックデザイン専攻の入試。ブラシをはじき絵の具を飛ばす「スパッタリング」という技法が、試験中に使用禁止とされたのです。しかも、その伝え方も会場によって異なり、ある会場では試験監督が全体に通告した一方、他の3会場では技法を使った受験生に個別に注意するという、対応のばらつきも見られました。
この事態に、2年連続で同大学を受験した男性は、「昨年もスパッタリングを使ったが注意はなく、成績開示では最高評価だった。今年も同じ技法を使ったのに、作品の見せ場となるはずの部分でパニックになった」と戸惑いを隠せません。 事前の告知があれば、他の技法で表現方法を検討できたはずであり、受験生にとって大きな痛手となったことは想像に難くありません。
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美術大学受験において、実技試験は合否を大きく左右する重要な要素です。受験生たちは、限られた時間の中で自身の技術と感性を最大限に発揮するために、日夜研鑽を積んでいます。だからこそ、試験におけるルールや条件は明確かつ公平であるべきです。
試験における公平性とは? 受験生たちの不安の声
今回の金沢美術工芸大学の対応は、受験生たちの努力を踏みにじるものではないでしょうか。事前に周知徹底されていれば、受験生たちは別の技法を練習したり、作品の方向性を変更したりするなどの対応ができたはずです。試験中に突然のルール変更を告げられることは、受験生にとって大きな精神的負担となるだけでなく、実力を発揮する機会を奪うことにもなりかねません。
著名な美術評論家である山田一郎氏(仮名)は、「受験生にとって、入試は人生の大きな転換期となる重要なイベント。大学側は、受験生が安心して試験に臨めるよう、事前に十分な情報を提供する責任がある」と指摘しています。
大学側の見解と今後の対応
金沢美術工芸大学は、「絵画技法は数多く存在するため、禁止事項をすべて網羅的に明記することは難しい」と説明しています。しかし、スパッタリングは一般的な技法であり、事前に禁止事項として明示することは十分可能だったはずです。
大学側は今回の指摘を真摯に受け止め、次年度以降の改善点を検討するとしています。具体的には、試験要項に禁止技法を明記する、試験前に説明会を実施するなど、受験生への情報提供を徹底することが求められます。
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今回の出来事は、美術大学入試における公平性と透明性について、改めて考えさせられる機会となりました。大学側には、受験生が安心して試験に臨み、実力を最大限に発揮できる環境づくりが求められます。 受験生たちの未来のためにも、再発防止に向けた具体的な対策が期待されます。