【ソウル=名村隆寛】韓国の検察は14日、チョ・グク前法相の家族による大学への不正入学やファンドの不正投資の疑惑をめぐり、チョ氏本人を呼び取り調べた。検察では疑惑への関与の有無を調べたもようだが、聯合ニュースなどが検察関係者の話として報じたところでは、チョ氏は陳述を拒否したという。
一連の疑惑で、チョ氏の妻で東洋大教授のチョン・ギョンシム被告が業務上横領などの罪で起訴。また、弟が背任などの容疑で、親戚の男が横領などの容疑でそれぞれ逮捕されている。
チョ氏は、疑惑の浮上による世論の強い反発を受け、10月14日に「私の家族のことで大統領や政府に負担をかけてはならないと判断した」と述べ、法相を辞任。辞任から1カ月で事情聴取を受けた。
チョ氏の息子と娘も不正入学疑惑で事情聴取を受けており、検察がチョ氏の逮捕状を請求するかどうかが焦点となる。
チョ氏の疑惑への関与が明らかになれば、検察改革を託し任命を強行した文在寅(ムン・ジェイン)大統領にも大きな打撃となる。今月、任期(5年)の後半を迎えた文氏の最近の支持率(11日発表)は44・5%で、不支持は52・2%。政権発足当初は支持率が80%を超えていたが、ほぼ半減状態が続いている。
韓国では低迷が続く経済への不満がくすぶっており、文政権は外交や南北関係でも成果を出せていない。来年4月には政権への審判ともいえる総選挙が控えており、かつての側近の疑惑が払拭されない限り、文氏は苦しい政権運営を強いられ続けそうだ。