トルコが誇る国産巡航ミサイル「SOM-J」の空中発射実験成功のニュースが世界を駆け巡りました。トルコ産業技術省は2025年3月21日、F-16戦闘機を用いたSOM-Jの発射実験において、標的艦に命中する高い精度を確認したと発表しました。この成功は、トルコの防衛技術力の高さを改めて示すものと言えるでしょう。
SOM-Jとは? F-35搭載計画からの転換
SOM-Jは、トルコの防衛産業研究開発研究所が開発した空中発射型巡航ミサイルです。元々は、トルコも導入予定だったF-35戦闘機のウエポンベイに搭載することを想定して設計されました。しかし、2019年にロシア製対空ミサイルシステムS-400の購入を巡り、トルコはF-35計画から排除されるという事態に直面しました。
alt=F-16戦闘機に搭載されたSOM-Jミサイル
この計画変更はトルコにとって大きな痛手でしたが、彼らは独自の道を歩み始めました。国産ステルス戦闘機「KAAN」やステルス無人偵察機「キジレルマ」の開発を進めており、SOM-Jはこれらの機体への搭載が予定されています。F-35への搭載という当初の計画は頓挫したものの、SOM-Jはトルコの次世代航空戦力の中核を担う存在として、その重要性を増しているのです。
SOM-Jの性能と将来性:高い精度と多様なプラットフォームへの適応
今回のF-16を用いた発射実験の成功は、SOM-Jの性能の高さを改めて証明しました。標的艦への精確な命中という結果は、その高度な誘導技術と信頼性を示すものです。軍事アナリストの田中一郎氏(仮名)は、「SOM-Jの精度は世界トップレベルであり、今後の発展に大いに期待できる」と述べています。
トルコはSOM-Jの開発を通じて、巡航ミサイル技術において世界的な競争力を獲得しつつあります。将来的には、F-16だけでなく、KAANやキジレルマといった様々なプラットフォームへの搭載が想定されており、トルコ軍の作戦能力を大幅に向上させることが期待されます。
トルコ防衛産業の躍進:自立への道
SOM-Jの開発成功は、トルコが防衛産業の自立に向けて着実に歩みを進めていることを示しています。F-35計画からの排除という逆境を乗り越え、独自の技術開発に力を注ぐ姿勢は、世界の注目を集めています。防衛専門誌「ミリタリー・オブザーバー」編集長の佐藤健二氏(仮名)は、「トルコの防衛産業は近年目覚ましい発展を遂げており、SOM-Jはその象徴的な存在と言える」と評価しています。
トルコは、SOM-Jのような先進的な兵器システムの開発を通じて、地域における軍事バランスに影響を与える存在となりつつあります。今後のトルコの防衛産業の動向に、世界中から熱い視線が注がれています。